今年の初め、久しぶりに明るい声を聞いた。1月7日に行われた阪神の年賀式。壇上であいさつする新入団の球団職員の中に、今成亮太氏(31)の姿があった。昨季限りで引退し、タイガースのアカデミーコーチになることが決まっていた。

今成氏と初めて話したのは、2年前の鳴尾浜球場だった。当時記者になったばかりの私が、初めて話した阪神の選手が今成だったと思う。名刺を差し出すと「もったいないから、いいよ!」と言って受け取ってくれなかったが、埼玉出身ということもあり、今成氏の母校の浦和学院や地元について話が弾んだ。

それから毎日鳴尾浜に行っていたわけではないが、私が見る今成氏はいつも笑顔を絶やさなかった。昨年10月に阪神を戦力外となった後、現役続行を模索しながら鳴尾浜を訪れた時でもそうだった。深刻なそぶりは見せなかった。

年賀式の今成氏のあいさつは、大爆笑を誘った。「僕の引退会見にお集まりくださり、ありがとうございます」「(アカデミーで指導する)子どもたちにはタイガースに入ってもらって、ファン感謝祭を盛り上げてもらいたい」「僕自身もチャンスがあると思っていますので、矢野監督にアピールしていきたいと思います」。さすがの盛り上げっぷりだった。

年賀式の途中、今成と2年越しに名刺交換をした。「俺、新人だから下から出すね」とにやり。周囲を喜ばせるエンターテイナーが指導するアカデミー。育っていく選手たちがとても楽しみだ。【阪神担当 磯綾乃】