目指すは、夏までの「3ケタ卒業」だ。阪神育成の左腕、石井将希投手(23)は、今季2軍でチームトップの18試合(6月1日時点)に登板している。救援登板で、1勝1セーブ。17回2/3を投げ、防御率は1・53と好調を維持している。

「試合で一番多く投げさせてもらっている。昨年よりは、思い切って投げようと思って、それがマウンドでもできている。そこが、自信にもつながっている」

2年目を迎えた今季。焦ることなく、落ち着いた表情でマウンドに上がる。「もちろん、まだドキドキもしますよ。緊張もします。でも、思い切ってマウンドで力強く投げようという気持ちの方が強くなった」。ブルペンで肩を作っているときから、胸は高鳴る。その鼓動が、いいリズムを生み出している。

背番号3ケタ卒業へ。大きな勝負に出た。香田コーチの助言もあり、昨秋からフォームを改造。右足を高く上げ、軸となる左足に体重を乗せる。そこから思いきってリリースの瞬間に、投球方向に力を伝えるフォームだ。春季キャンプでも取り組み、今は手応えも感じている。「元々はセットポジションで投げていたんです。でも、フォームが小さくまとまっていたので、今年からダイナミックな投球を意識して。体を大きく使ってみようと思って、取り組みました」。その後は同じ左腕の高橋建2軍投手コーチにも指導を仰ぎ、着実に成長してきた。「(フォームは)だいぶ固まってきた。自分のものになってきている。ピッチングも安定してきたと思います」。

現在チームの支配下選手数は「67」。残り枠は「3」である。「僕の立場だったらライバルが誰だとか、他のピッチャーに勝たないと、というところではないんです。(支配下)枠を争わないと。(支配下)登録を目指しているだけでなくて、1軍のマウンドで投げることが目標なので。そこは意識に置いてます。ここからも最大限の力を出したいです」。期限は7月末まで。吉報が届くことを願いながら、鳴尾浜でひたむきに汗を流している。

すぐ近くにいる「戦友」の勇姿が励みだ。「すごかったですよね、この間のハルト。もちろん(TVで)見てましたよ」。5月30日巨人戦(甲子園)で高橋遥は今季3度目の先発。7回2失点で今季初白星をマークした。同学年の活躍は、自然と力になる。石井も同じ舞台に立って、勝利のハイタッチを交わす瞬間を勝ち取る。【阪神担当 真柴健】