<ソフトバンク8-6楽天>◇2日◇ヤフオクドーム

チャンスは突然やってくる。終盤の逆転劇で今季4度目の5連勝を飾ったソフトバンクの最後を締めたのは甲斐野と栗原の同学年バッテリーだった。

「めちゃくちゃ緊張しました。今日は甲斐野に引っ張ってもらいました。本当は僕の方が引っ張らなくちゃいけないのに…」。主戦マスクの甲斐、そして8回に抑え捕手としてマスクをかぶったベテラン高谷に次いで3番手捕手として栗原はストッパー甲斐野と最終9回にコンビを組んだ。甲斐野の球を受けたのは春のキャンプ以来。実戦マスクも5月1日の楽天戦(ヤフオクドーム)だから、2カ月ぶりの“実戦登板”だった。「甲斐野の投球を信じるだけでした」。先頭山下を3連続フォークボールで空振り三振。続く辰己は直球で押して、フォークで投ゴロ。茂木はカウント1-2と追い込むと最後はフォークで空振り三振。12球であっさり切り抜けた。

プロ5年目。パンチ力ある打撃は首脳陣も期待大。だが、甲斐、高谷に次ぐ「3番手の捕手」としては、どうしてもマスク越しの出番は限られる。この日も試合後、資料室に直行してチャートに目を通したが、好リードという自己評価はない。「甲斐野は堂々としているし、もっともっと頑張らないと」。サファテ、森が離脱している中で、新人ながら「抑え」の大役を務める甲斐野の姿に自らの成長をあらためて誓った。

多くのケガ人を抱えながらも、チームは首位に立つ。だが、この日のように終盤乱戦になれば、栗原にも数少ないチャンスは巡ってくる。まだまだ細いクモの糸かもしれないが、しっかりつかみ取ることができれば、プロ人生の視界も広がっていく。【ソフトバンク担当 佐竹英治】