球場でプロ野球を見る醍醐味(だいごみ)の1つが音楽だ。登場曲や応援歌に個性が表れる。3年ぶりに現場復帰したが、これはテレビ観戦では味わえないと感じている。広島の本拠地、マツダスタジアムではエリック・クラプトンの「いとしのレイラ」がかかった。誰しも1度は聞いたことがあるであろう名曲を選ぶセンスに驚いた。登場したのは藤井黎来(ふじい・れいら)投手で納得。一発で名前を覚えた。

バンテリンドームでも耳に残る登場曲があった。大音量でかかる中日根尾昂のサカナクション「モス」。イントロからがっちりと引き込まれる格好良さ。同バンドの山口一郎さんは中日ファンだという。ビジターの試合でも、お気に入りの曲に出会える可能性はある。遊軍記者時代には、ソフトバンクの中村晃とヤクルトのバレンティン(「Shape of you」=Ed Sheeran)、ロッテ三木亮とヤクルト村中恭兵は一緒(「AGEHA」=GENERATIONS from EXILE TRIBE)だな、などを発見するのも楽しかった(現在はバレンティンと三木が変更)。

DeNAの桑原将志は、休日返上で参加した26日の練習に歌いながら登場した。前のカードで流れていた、阪神マルテの登場曲だという。リズム感を取り戻したのか、28日の広島戦では今季1号本塁打を放った。横浜スタジアムで流れる桑原の登場曲は1打席ごとに変更される。こだわりが垣間見える。

横浜スタジアムでのおすすめは、今季ヤクルトから加入した風張蓮投手だ。Rhapsodyの「The wizards last rhymes」。クラシックのドヴォルザーク「新世界より」を使ったロックで、ぐっと引き込まれる。移籍初登板となった17日の巨人戦では8回の登場時に加え、9回も雨でグラウンド整備が行われたため、2度かかった。しかも長時間。これで強烈な印象を受けた。

新人では、牧秀悟がアニメの「スラムダンク」から「君が好きだと叫びたい」(BAAD)と「世界が終わるまでは…」(WANDS)を奇数と偶数打席で使い分ける。入江大生は投球時と打席で使い分け、打席では横浜銀蝿の「ツッパリHigh School Rock'n Roll(登校編)」で盛り上げる。山崎康晃は実績を積み重ね「Zombie Nation」の「Kernkraft400」を今や同球場の定番とした。野手では宮崎敏郎が「ロード・オブ・メジャー」の「心絵」を使い続ける。プロ野球選手にとって代名詞は大切だ。ルーキーには、山崎や宮崎のように「この選手はこの曲」と、ファンに覚えてもらえるぐらいの長い活躍を期待したい。【DeNA担当=斎藤直樹】