珍しい光景に出会った。今月8日のオープン戦・中日-オリックス戦(刈谷)の試合前。打撃練習中に、中日立浪和義監督(52)が三遊間でグラウンドをならそうとトンボをかけ始めた。ノック後の地ならしを手伝っているのか、と眺めていたが、終わらない。汗がにじんだのだろう、途中からはウインドブレーカーを脱ぎ捨てて、丁寧にグラウンドをならし続けた。最初は監督付の小林広報が手伝っていたが、打撃練習の終盤からは他のコーチやスタッフ、高橋周、阿部、京田らも加わった。オリックスの打撃練習開始直前まで1時間超、地面をならしていった。

「(グラウンドが)硬かったので、少しでも良くなればと。これからケガをされたら困るのでね」。刈谷球場は、プロ野球の試合を定期的に開催する場所ではない。選手に安全な舞台を提供するため、グラウンドキーパー役を買って出ていた。

7日のナゴヤ球場でのノックで、石川昂がイレギュラーバウンドを顔面に受けた。唇付近から流血したが、大事には至らなかった。期待の大砲候補には、練習や試合で経験を積ませている。ケガを負って開幕メンバーから外れるようなことになれば、指揮官の構想は大きく狂う。ナゴヤ球場のグラウンドの整備もしっかりと球場側に要求し、9日のオープン戦開催時にはきっちり整備されていた。

現役時代に歴代8位の2480安打を放った立浪監督は、守備でも遊撃、二塁、三塁で通算5度のゴールデングラブ賞を受賞した。グラウンドコンディションへの目配りは、守備の名手ならでは。11日の阪神-中日戦(甲子園)の試合前も、現役時代の主戦場だった三遊間で、選手の打撃練習を確認しながらトンボをかけていた。開幕戦まで残り2週間。「あっという間。すぐだと思うので、ここからの故障者が怖い」。1年間を戦う選手への思いが、グラウンドを整備する姿ににじみ出ていた。【中日担当=伊東大介】