<日本ハム4-11ソフトバンク>◇24日◇札幌ドーム

北九州、鹿児島の「九州シリーズ」から大阪、そして札幌へと北上したソフトバンクの長い遠征は連勝で締めた。9日間で8試合を消化し、3勝5敗。黒星が2つ先行してしまったものの、懸案の打線が日本ハム3連戦(札幌ドーム)で計39安打25点。チームは5カードぶりの勝ち越しを決め再浮上の手応えをつかんだのではないだろうか。藤本監督も自信回復でロードを締めたことだろう。週明けには戦列を離れていた主砲柳田もチームに合流予定。好転の材料がそろう。

日本ハム対ソフトバンク 3回表、野村勇は左越え先制2点本塁打を放つ(撮影・佐藤翔太)
日本ハム対ソフトバンク 3回表、野村勇は左越え先制2点本塁打を放つ(撮影・佐藤翔太)

旅は人を成長させるというが、新人の野村勇はこの遠征で躍動した。21日のオリックス戦(京セラドーム)でプロ初本塁打を放つと、この日は2発を放った。新外国人ガルビスの状況を見ながらの先発起用が続いているが、勢いに乗ってきた新人くんの積極起用がいいのではないだろうか。キャンプから「競争」をテーマに掲げてきた藤本ホークスにとって、どこかに消えた「三塁争い」は今は野村勇が勝ち取ったと見えるのだが…。

ホークスの新人野手で1試合2発を放ったのは94年の小久保(現2軍監督)以来という。野村勇はパンチ力もあるが「走攻守」の3拍子そろったプレーヤーだけに1発の魅力もさることながら、攻守に活躍してくれるはずだ。

ルーキー小久保の連発を報じる、94年8月24日付け日刊スポーツ紙面
ルーキー小久保の連発を報じる、94年8月24日付け日刊スポーツ紙面

「小久保には悪いことをしたなあ」。95年に小久保が2年目で本塁打王のタイトルを取ったとき、94年までホークスの監督を務めフロント入りしていた根本陸夫氏(故人)は、珍しくしんみりした口調で言った。「球界の寝業師」と呼ばれ、チーム変革を求められダイエーに招聘(しょうへい)された根本氏も、まだ新人小久保の期待度は低かったのだろうか。小久保の1年目は78試合の出場で6本塁打に終わっていた。「もっと使ってやっていれば、もっともっと数字を残せたのにな」。根本さんの自省の言葉が今も耳に残っている。【ソフトバンク担当 佐竹英治】