オリックス中嶋聡監督(55)の辞任は相当な衝撃だった。10月6日の仙台での今季最終戦後に今季限りの辞意を表明。5位に低迷し、リーグ3連覇チームが優勝争いに絡めなかった責任を取った。と同時に、チーム内に漂った「慣れ」の部分を手厳しく指摘。「今まで通りにやったとしても、人って慣れるじゃないですか。その慣れという部分の方が今年は本当により多く、より強く出てしまったのかなと思いますね」などとした内容は、選手への強いメッセージにも感じた。
その「慣れ」の空気を強く感じる場面があった。夏のベルーナドーム。試合前の練習が終わりを迎える頃だった。打撃ケージの横で、ある選手がコーチから拝借したノックバットを手に、野手にむけて打ち始めた。何をしているのか。
もちろんコーチから依頼されたわけではないだろう。「ヘーイ」と声を出しながら、ポーン、ポーンとごく軽いゴロを飛ばす。チームの雰囲気を明るくしたいという思いがあったのかもしれない。でも、それは、遊びにしか見えなかった。まもなく真剣勝負が始まる場所で。
ノックを打ちながらヘラヘラ。その横でコーチも笑っていた。この上なく弛緩(しかん)した雰囲気。主力選手の多くはベンチに戻った後だったが、そのシーンからはBクラスから巻き返そうとする意欲はまるで感じ取れず、残念に思った。
他にも、中嶋監督が審判に猛抗議している間、ベンチで若手選手がじゃれ合っている姿がテレビで映され、ネット上で「緩みきってる」と話題になった。これも指揮官が言う「慣れ」の部分かもしれない。
中嶋監督の辞任表明から一夜明けた朝、湊通夫球団社長兼オーナー代行が、チーム宿舎で取材に応じた。こちらも指揮官の語った内容が、深く印象に残っているようだった。
「あの仕事ってすごい命を削っていると思うんです。(中略)その慣れっていうところは、昨日、記者の皆さんにおっしゃってるのと、自分たちに言っていることは同じなので。言い方はあれですけど、すごい誠実な人柄が出ている会見だったと思いますけど」
たかが担当記者として外から見ているだけで緩い空気を感じるほどだから、指揮官としての歯がゆさは相当なものだったと思う。【オリックス担当=大池和幸】




