<ソフトバンク4-3西武>◇5日◇みずほペイペイドーム

渋い働きをする。3番に座って2安打2打点。ヒーローのお立ち台は後輩に譲ったが、ソフトバンク中村晃は勝利の殊勲者だった。1点を追う3回1死二、三塁。一、二塁間をしぶとく抜いて逆転となる右前2点適時打。「とにかくチャンスで積極的にコンパクトなスイングを心がけました。チャンスを生かす打撃がができてよかった」。同点に追いつかれた5回には先頭打者で西武先発の今井のフォークを中前に運び、柳町の適時二塁打を呼び込んだ。

このカード初戦に山川が4番復帰。中村は11試合連続で務めてきた4番から3番に打順変更となったが、2戦連続マルチ安打。どの打順を打ってもきっちりと仕事をこなす。

前日4日の9回に巡ってきた第4打席。4球目をファウルした際、右足に自打球を受けた。痛みが消えぬまま6球目のスライダーを捉えた。強振すれば、再び自打球になったかもしれない内角低めのコース。「また足に当たるのがイヤだったので、あまり強く振らなかったです」。非凡なバットコントロールで右前に運んだ。チームは初戦を落としたが、この日の2戦目につながる巧打だった。

通算安打は1491本。大きな節目となる1500安打まで残り1桁の9本とし、カウントダウンが始まった。開幕前には目標にしていなかった数字だ。代打中心となった昨シーズンは40安打に終わった。今季はさらに「代打専従」の方針だっただけに「(1500安打の)数字はもう無理でしょう」と視界に入れなかった。18年目のプロ野球人生。思いもよらぬシーズンになったが、寡黙に結果で応えている。

「渋いよな。長打とかはないけども、いいところで打つよね。相手からしたら本当にイヤなバッターだよ」。試合後、王球団会長は中村の打撃についてわざわざ足を止めてそう言った。世界のホームラン王からの最大の賛辞だった。

ソフトバンク対西武 3回裏ソフトバンク1死二、三塁、中村は右前に逆転となる2点適時打を放つ(撮影・梅根麻紀)
ソフトバンク対西武 3回裏ソフトバンク1死二、三塁、中村は右前に逆転となる2点適時打を放つ(撮影・梅根麻紀)