「球児たちの夏」が終わった。高校球児たちの挑戦を、間近で見て、聞いて、思ったこと。担当記者たちが回顧録として記す。

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憧れてもたどり着けない場所からたどり着ける場所へ。全国高校女子硬式野球選手権大会の決勝が今年も甲子園で行われ、21年から3年連続の開催となった。女子野球部は全国で増えており、今夏は昨年より9チーム増の58チームが出場。男子とは対照的にチーム数は年々増えている。これまでは女子野球部員は目指しても踏むことができなかった聖地が目指せる場所になりつつある。

今月1日。女子高生のにぎやかな声が甲子園で響いた。神戸弘陵が岐阜第一を下してユース大会、選抜大会に続く日本一で史上初の3冠を成し遂げた。21年にも甲子園で優勝しており、70人を超える部員が1つになって喜んだ。一方の岐阜第一は初の決勝進出。スタンドでは今夏県8強で敗れた男子の野球部員も一緒に応援して盛り上がった。

神戸弘陵の主将・三村歩生(あい)内野手(3年)は「甲子園でできることはすごく魅力的。すごくうれしい気持ちでいっぱい」と心から喜んだ。三村は小学6年時にオリックスジュニアに選ばれ、同学年の前田悠伍投手(現大阪桐蔭)らとプレー。当時は女子は甲子園に立てず、実力はあれど、たどり着けない場所だった。

性別関係なく甲子園は特別な舞台だ。高校入学直後に甲子園開催が決定した三村は「中学3年のときから甲子園でやるかもと聞いていたが、まさか実現できるとは。女子もやらせてもらうことになってから、『自分たちも目指せるんだ』と目標の場所になった」と捉え方も変わった。

指導者も違いを実感する。元女子プロ野球選手で岐阜第一を率いる小久保志乃監督(35)は「素晴らしい環境で生徒がうらやましかった。最後に甲子園を目指せることは彼女たちのモチベーションになった」とうらやんだ。

観客の数もプロに引けを取らなかった。この日は3237人が女子高生の熱戦を見守った。7月22日に甲子園で開催された阪神タイガースWomen-読売ジャイアンツ女子の一戦では3431人と、大差ない。また、今季甲子園開催の阪神2軍戦の平均観客数よりも多い数だ。

勝者も敗者も甲子園でのプレーに目を輝かせ、試合後には甲子園の試合に「最高です」と口をそろえた。男子の甲子園でも女子部員の試合前ノックやノック補助も認められるようになった。今後、甲子園でも、女子生徒の活躍が広がりを見せるに違いない。【林亮佑】

(この項おわり)

8日、ユニホームを着用しノックの補助を行う宇部鴻城・岡野美和(右)。左は尾崎監督
8日、ユニホームを着用しノックの補助を行う宇部鴻城・岡野美和(右)。左は尾崎監督