担当記者の心に響いた野球人の声で今年を振り返る、今や年末恒例企画の「言葉の力」。

今年はその掲載前に、現場カメラマンがファインダー越しに心を揺さぶられたシーンでこの1年を振り返る新企画「写真の力」をスタートさせます。計12人のカメラマンが選出した自身撮影の珠玉の1枚を、全6回で紹介します。


■カメラマン・垰建太

16年に日本ハムが日本一となった時、先輩が「宙を舞う栗山監督の下に持ち上げる笑顔の大谷」という瞬間を切り取った。それを念頭に、WBC決勝戦前、栗山英樹監督(62)の胴上げは大谷翔平投手(29)がすぐ側で写っているのはマストだと漠然と考えていた。

2023年3月21日(現地時間) WBC日本代表(侍ジャパン)決勝 日本対米国 世界一を成し遂げた栗山英樹監督は大谷翔平(後方右)ら選手たちに胴上げされる
2023年3月21日(現地時間) WBC日本代表(侍ジャパン)決勝 日本対米国 世界一を成し遂げた栗山英樹監督は大谷翔平(後方右)ら選手たちに胴上げされる

世界一の瞬間、満席となったコンコースの私の前に、米国の巨漢のファンが何人も立ちはだかっていた。その中の1人のナイスガイが「お前日本人か? ここに入って撮れ!」と場所を譲ってくれた。その結果、無事に撮れたのがこの1枚。栗山監督がどっちを向くかもわからない状況で、いざ胴上げが始まると、こっち向きで身体が宙を舞った。夢中でシャッターを押した中に、歓喜の栗山監督が開いた両足の間から笑顔をのぞかせる大谷がいた。

「おめでとう。良い写真撮れた?」と、先ほどのナイスガイ。米国ファンの優しさにも触れられた思い出の1枚だ。サンキュー! ナイスガイ!


■カメラマン・たえ見朱実

カメラマンはいつも狙っている。「インパクトの瞬間」を。野球だけに限らず、球技スポーツなら一緒ではないか。インパクトがあるからこそ次の動きに続いていき、喜びや笑顔にうまく移行していける。しかしながら、これがなかなか難しくて。秒間何十コマと撮影が可能になった今でも、本塁打に関してはなかなかうまく撮れない。

2023年10月7日、楽天対ソフトバンク 3回表ソフトバンク2死三塁、右越えに勝ち越しの2点本塁打を放つ柳田悠岐
2023年10月7日、楽天対ソフトバンク 3回表ソフトバンク2死三塁、右越えに勝ち越しの2点本塁打を放つ柳田悠岐

10月7日の楽天-ソフトバンク最終戦(楽天モバイルパーク宮城)。3回2死三塁、ソフトバンク柳田悠岐外野手(35)がレギュラーシーズン最後の2点本塁打を放った。この打席で、やっとモノに出来た。本塁打での納得の1枚は、1年通してこれ1枚。「タケノコ」とも言われるジャストミート。この写真を撮影するために、どのくらいの時間とコマ数を使ったのだろう。でも、これからもこだわって狙っていく。本塁打を撮影するたびに出稿出来るように。