<教育リーグ:ヤクルト1-1西武>◇8日◇戸田
田村藤夫氏(62)が、教育リーグのヤクルト-西武戦を取材し、2番手として登板したヤクルトのプロ4年目右腕・市川悠太投手(20=明徳義塾)に注目した。
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ヤクルトにはこういうタイプの投手もいるのかと感じた。スリークオーターとサイドスローの中間というフォームで、ストレートには力がある。スピードガン表示が特にストレートの時に安定せず、私の感覚と勘で言うなら、145、146キロは出ていたと思う。
変化球はシンカーとスライダー、カーブを投げていたが、特にスライダーが光った。右打者へは両サイドへ力のあるストレートを投げ、外角にカーブ、スライダーで攻めていた。このコンビネーションは非常に効果的だった。
左打者に対してはシンカーが有効で、ひっかけさせてゴロを打たせていた。一般的に右のサイドスロー系の投手は左打者を苦手にする傾向がある。左打者からすると球筋が見やすくなるためで、したがって市川が左打者をどう攻めるか注目していたが、シンカーという武器を使って打ち取ろうという意識を感じた。
右打者、左打者への攻め方に、しっかりとした意図を感じる。カウント球として右打者の外角にスライダーを、勝負球としては右打者はスライダー、左打者はシンカーという軸もある。内角ストレートの制球も良かった。私は初見だったが、ヤクルトにはこういうタイプの投手もいるんだと非常に参考になった。
まだ1軍での登板はない。過去3年間で2軍での投球回は徐々に増えている。4年目を迎えて、さらに細かいところの質を上げていけば、チャンスは巡ってくるのではないかと感じた。例えば、シンカーだが、もう少し腕を振って投げるといい。まだストレートの腕の振りと比べると、少し緩む気がする。ストレートと同じ腕の振りで変化球を操るということが、1軍では非常に重要になる。ここは、意識して取り組むべきだろう。
この試合では5回を投げ2安打2三振2四球で無失点。3イニング目に課題と思われる場面があった。先頭打者に四球。ボール先行のカウント2-0からファウル1球を挟んでボール、ボールで四球。ここは犠打の後、けん制で刺し2死走者なしとしたものの、再び四球。ヒットでつながれてピンチを背負い、最後はいい当たりの遊直でしのいだが、いきなりストライクが入らなくなる傾向があるのかもしれない。
立ち上がりは良くても、途中で制球を乱すというタイプの投手もいる。この試合はたまたまそうした場面があっただけかもしれないが、自分のリズムを維持できるか、何かをきっかけに崩れるか。長いイニングを投げながら安定感を磨いてもらいたい。
タイプとしては先発に見える。印象に残ったのはけん制だった。3イニング目に1死二塁となったが、二塁へのけん制でアウトにした。ターンが速い。一塁にけん制する時も、ターンの速さが目を引いた。しかも、けん制のコントロールがいいのも大きな武器だ。
投ゴロでのフィールディングも動きがよく、運動能力の高さを感じる。こうした部分は、教わるというよりも元々備えたものだろう。けん制、フィールディングが良ければ、何より自分自身が助かる。こうした部分を加味しても、おもしろい存在だと感じる。(日刊スポーツ評論家)





