11日に開幕した全日本大学野球選手権。奈良学園大(近畿学生)は2年ぶりに出場するも接戦の末、初戦で立命大(関西学生)に敗れた。それでもプロ注目の米満凪内野手(4年=敦賀気比)が、大会最多記録に並ぶ1試合4盗塁を決めるなど、爪痕を残した。

立命大対奈良学園大 7回裏奈良学園大1死、米満は右中間へソロ本塁打を放つ(撮影・滝沢徹郎)(2018年6月11日)
立命大対奈良学園大 7回裏奈良学園大1死、米満は右中間へソロ本塁打を放つ(撮影・滝沢徹郎)(2018年6月11日)

 奈良学園大は昨年、同校史上初となる1学年で2人のプロ野球選手を輩出。宮本丈内野手がヤクルト6位、村上海斗外野手が巨人7位で指名された。入団が決まった時に、2人からチームの荷物を運ぶためのワゴン車を贈られた。酒井真二監督(41)らが、どこでも目立つワインレッド色を選択。そして「TAKESHI 39」「KAITO 66」と2人の名前と背番号をペイントした。

全日本大学野球選手権に出場する奈良学園大・米満凪内野手(撮影・磯綾乃)(2018年6月10日)
全日本大学野球選手権に出場する奈良学園大・米満凪内野手(撮影・磯綾乃)(2018年6月10日)

 2人がドラフト指名された瞬間を目の当たりにし、米満はプロへの思いを強くした。「宮本さんと同じショートだったので、いつも後ろでノックを受けていた。練習に向かう態度、練習する姿はすごいと思う」。毎日のように目にするワインレッドの車は、そんな2人の姿を常に思い出させるものになった。

昨秋ドラフト指名されたヤクルト宮本丈内野手、村上海斗外野手から送られた車と、奈良学園大ナイン(奈良学園大野球部提供)=2018年6月10日、奈良県生駒郡
昨秋ドラフト指名されたヤクルト宮本丈内野手、村上海斗外野手から送られた車と、奈良学園大ナイン(奈良学園大野球部提供)=2018年6月10日、奈良県生駒郡

 米満は大学選手権で、大会最多タイの4盗塁、本塁打を含む3安打1打点と、夢の世界へ向けて猛アピールした。「負けたのは悔しいが、持ち味は出せた。進路は僕自身ではプロ1本を考えています」。この日は宮本と村上も、東京ドームへ応援に駆けつけた。もちろんプロは厳しい世界だが、先輩の姿は後輩たちを後押ししている。【磯綾乃】