早い時間に、虎番記者から山本泰寛が登録抹消と聞いた。巨人から移籍し、バイプレーヤーとしてシブい仕事をしている。「なんで?」と思っていたら虫垂炎と発表された。代わりに木浪聖也が昇格。小幡竜平に代わって2軍落ちしていたが思わぬ形でチャンスが巡ってきたことになる。

今季の阪神はその山本、木浪に加えて小幡、ルーキー中野拓夢が加わって遊撃手争いが続いている。誰が未来のレギュラーになるのか。興味深い。2軍の北條史也もこのままでは終わらないだろう。そしてこの試合、ポイントになったのが競争するメンバーの2人、中野と小幡だった。

3回、8番・小幡が四球で出てチャンスをつくり、中野の犠飛などで2点を奪った。下位打線から少ない安打数で得点する理想的な攻撃だ。5回には小幡が内野安打で出て、中野が二塁打でかえす。クリーンアップが無安打でも中押しできた。勝利の要因だ。

もちろん、いいことばかりではない。殊勲者の中野には反省点もあった。2回、サンズとの間にレアードの打球が落ちたのはもっと深くまで追うべきだったと思うし、8回、適時打になった藤岡裕大の遊撃強襲打も打球を止めることはできたのではないか。

新人ながら競争メンバーの中で1歩、抜け出している感はある。それでも新人だからこそ当然だがレベルアップはまだまだ必要だ。

5、6年前まで「阪神の遊撃手」と言えば文句なしで鳥谷敬だった。12年3月30日のDeNA戦から16年7月23日の広島戦まで667試合で連続フルイニング出場。これは遊撃手としてのプロ野球記録だ。

「それだけ不動のショートがいるということは、その部分の補強はおろそかになる。その間、阪神は上位で消えるような内野手、遊撃手はドラフトで指名していないだろう」

以前にあるスカウトから聞いた。なるほどな、と思った。現在の阪神にはそこまで確立された存在はいない。だからこそ「ポスト鳥谷」のため、球団もドラフトなどで補強を続け、それによって入団してきた若いメンバーで競争が繰り広げられる状況になっている。

選手が入れ替わるのはこの世界の常だ。鳥谷が“凱旋(がいせん)”した甲子園でくしくも新たな遊撃レギュラーを狙う面々が活躍した。「新生阪神」を象徴しているようで、良かったと思う。(敬称略)

【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対ロッテ 5回裏阪神2死三塁、中野の適時打で生還した小幡はベンチのナインとエアタッチする(撮影・加藤哉)
阪神対ロッテ 5回裏阪神2死三塁、中野の適時打で生還した小幡はベンチのナインとエアタッチする(撮影・加藤哉)