2軍安芸キャンプは大変だ。打ち上げを直前にコロナ感染者が続く。いつ誰が罹患(りかん)してもおかしくないウイルス。不運としか言いようがない。そんなものといっしょにしてはいけないのだがミス、失策も結構、伝染する。ミスが出て、それが続くという光景を虎党は特にここ数年、よく目にしてきたと思う。この日もそれが出た。

5回に二塁スタメンの木浪聖也が捕手からの送球を捕れず、さらに遊撃の守備が期待される小幡竜平もやった。1イニング2失策。先頭・山崎晃大朗の打球を木浪がはじいた内野安打もミスっぽく、オープン戦だからいいようなものの公式戦なら投手はたまったものではないだろう。

そこである意味、注目したのが佐藤輝明だ。「4番打者」と同時に「三塁の定位置」も大山悠輔と争う形のプロ2年目は5番三塁でスタメン出場。そして6回1死から吉田大成の強い打球をはじいた。強襲安打。これがこの日初めて三塁に飛んだ打球だ。2死一塁となった後で今度は代打・中村悠平の三ゴロを処理できない。これで記録上はチーム3失策となった。

「やってしもた」。そんな表情の佐藤輝、マウンドの伊藤将司のもとに歩み寄ってはいたが落ち込む様子は感じられなかった。ここで思い出すのは阪神OBの今岡真訪(日刊スポーツ評論家)から聞いた言葉だ。

「サードはミスを避けられないポジション。ミスしても平然としていられる選手でないとね」。打者から近く、もっとも強い打球が飛ぶ。一塁から遠く少しはじくだけで打者走者を生かしてしまう。三塁のミスは必ず起こるし、それで落ち込むようではいけないという指摘だ。経験者は具体的だな、と思った。

そこで佐藤輝だ。1年目からZポーズを見せたり、ヘッドバンドをしたり、明るいというかあっけらかんというか、いかにも今風の若者という様子。三塁守備で“一日の長”のある大山悠輔は真面目というか、こちらがそう思っているだけかもしれないけれどミスが響く、そんな印象だ。

そこを重視するなら思い切って三塁は佐藤輝でいいのでは-という気もする。もちろんオープン戦期間中もしっかり練習し、体力、技術面ともにさらにアップさせることが必須条件だけれど。指揮官・矢野燿大の目指す元気はつらつ野球にもその方があっているかも…と勝手に思っている。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)