楽しそうやなあ。球宴中、全セ監督を務めた指揮官・岡田彰布の表情をテレビで見て、そう感じた虎党も多いだろう。笑顔を浮かべ、グラウンドを見続けていたその顔。シーズンとは全然、違う感じだった。
「動くが負け」(幻冬舎新書)。14年前、岡田がオリックス監督に就任する前に書いた著書だ。同書には岡田の野球に対する考え方が詰まっている。あれから時がたち、経験も積み、置かれた立場も変わって、その思考も当然、変化しているだろう。それでも昨年に監督復帰しての戦いを見て「これがあのことか」と感じることが多々ある。
そこにこんな章があった。「監督の理想の野球ができるのは日本代表監督だけ」というものだ。「『こういう野球で戦い、頂点を目指します!』と理想を掲げられるのは日の丸を背負った日本代表の監督くらいだろう」-。その理由として12球団から優秀な選手を選んで指揮を執ることができるのだからと説明する。
日本代表ではないもののリーグを代表する選手が選ばれての戦いはそれに近い感覚なのかもしれない。だからこその明るい表情だったのだろう。あくまで「お祭り」なのだ。
投手も打者のタイミングを外そうとは考えないだろうし、ある程度、ストレートで押す。そこを狙ってスイングしていく。「飛ばないボール」談議はささやかれるにしても、そういう野球がどうなるか示された2試合だったかもしれない。
それとはまったく違う戦いが再開される。それを前に岡田はいつのもフレーズを口にした。「普通にやるだけやん」だ。「普通にやったらええだけ」「普通やん」という言葉をよく使う岡田のココロは、勝負に関して言えば、投手がしっかり投げて、野手がちゃんと守って…ということだ。そこに加え、打者が犠打なども含め、やるべきことをやる流れである。
もちろん、それが普通にできればどのチームでも勝つはず。やはり、そこで差が出るのは選手個人の力だろう。口は悪いが、岡田は現在、阪神にいる選手を認めている。だからこそ「普通にやれ」というセリフが出るのだと思う。
今季も残り53試合。首位に3・5ゲーム差でのリーグ戦再開である。どこまで「普通」の戦いを展開して上位に食らいつけるのか。長期ロードまで2カードの甲子園。まずは眼下の敵・中日をたたきたい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




