指揮官・岡田彰布の持論の中に「なんとなく勝つ」というフレーズがある。

圧倒的な投手力や、派手な本塁打などはなくても終わってみれば勝っている。そういうチームが強い…ということだ。言い方を変えれば守りを中心とした総合力ということかもしれない。

なんだか、この日はそんな試合だったような気もする。阪神が放った12安打はすべて単打だ。付け加えればヤクルトの5安打もシングルヒット。両軍合わせて17安打が全部単打というのもめずらしい。決勝点は前川右京の犠飛。阪神のスタメンではその前川だけ無安打なのも不思議な感じだ。一番、目立ったのはその前川が1回の左翼守備で見せた、うまいプレーだったかもしれない。

この勝利で岡田が「勝負」と位置づけた甲子園7連戦、12日が雨天中止で6連戦になったが、その結果は5勝1敗。首位・巨人に必死で食らいついている。まさに1試合も落とせない状況の中、すさまじい粘りを見せていると言っていい。

そこで感じるのは甲子園の熱気だ。常にソールドアウト状態になっている甲子園だが、特に最近の声援は激しい。現地に足を運んでいる人なら分かるだろうが球場全体で後押ししている感じが伝わってくる。

「まあ地の利もあるからね。甲子園というのもあったからかな、なんとか、おーん。まあ、雨もあったけど十分じゃないかな」。

虎番キャップたちに囲まれて岡田が振り返ったように虎党で埋まるホームで今季の阪神は強い。これで甲子園は37勝19敗2分けとなり、勝率6割6分1厘。京セラドーム大阪などを含めた主催試合全体でも41勝25敗2分けで本拠地での「貯金16」はリーグ最多だ。

これでビジターゲームでも5割ぐらい勝てていれば貯金16になって、首位・巨人を抜いているかも。だがビジターでは28勝33敗4分けと負け越している。そういう意味でも全国にファンのいる阪神とはいえ、やはりマンモスのパワーはすごいと感じるのだ。

長かった今季も残り10試合となった。この時点で首位に2ゲーム差の2位につけているのだから、しびれる。そして10試合のうち、甲子園では4試合、ビジターでは6試合。そうなれば前日も書いたがやはり22、23日に予定される甲子園での「伝統の一戦」が大きな意味を持つはず。天気予報はそこがあやしいのだが…。とにかく、まずは18日、打倒・高橋宏斗だ。(敬称略)

【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対ヤクルト ヤクルトに勝利し岡田監督(左から3人目)は10勝目を挙げた大竹とハイタッチする(撮影・上山淳一)
阪神対ヤクルト ヤクルトに勝利し岡田監督(左から3人目)は10勝目を挙げた大竹とハイタッチする(撮影・上山淳一)