才木浩人は投球以外でも“ストライク”を投げたことが勝利につながったのかもしれない。1-0で阪神が勝った試合の流れを一気に引き寄せたのは開始早々、1回表の守備だ。

広島時代から優勝経験豊富な丸佳浩が才木からいきなり二塁打を放つ。無死二塁。ここで2番・浅野翔吾は犠打を試みた。これを素早く処理した才木は迷わず三塁へ送球。二走・丸は三塁ベース手前で挟まれる形になり、佐藤輝明から遊撃・木浪聖也に渡った送球でまず1アウト。

この動きを見て二塁を狙った打者走者・浅野だったが、これも木浪から二塁・中野拓夢に送られた球で憤死。無死二塁からの犠打狙いはまさかの併殺、2死走者なしとなったのである。これは大きかった。

「基本的な挟殺プレーだけど、木浪が走者に詰めて1発でアウトにできたのがよかったね。あそこで時間をかけていたら二塁(のアウト)はなかった。そこに加えて良かったのは才木の送球だ。佐藤輝にいい球を投げてくれたから、ああいうプレーにつながった」

内野守備走塁コーチの馬場敏史はそう説明した。「投手を中心にした守りの野球」を掲げる指揮官・岡田彰布の下、目を見張るファインプレーではなく、やるべきことをキッチリやるプレーで試合の流れを引き寄せたということだ。

才木からゲラ、岩崎優のリレーで8回を投げきった菅野智之との投手戦を制し、1-0での勝利。「1-0勝ち」は今季7度目だが、打撃陣が調子を上げてきた後半戦では初めて。反対に後半戦の「0-1負け」は一度だけ。8月12日の巨人戦(東京ドーム)であったので、重要な局面でやり返した格好にもなった。

それにしても大声援の甲子園だ。いつものことではあるが、特にこの夜はボルテージが上がっていたと思う。よくぞ、このチケットを取れた…。そんな虎党の思いも重なってか多いに盛り上がる「TG運命の2連戦」。4万2635人を飲み込んだその初戦は、投手戦を制した阪神が勝った。

これで1ゲーム差。一気に詰め寄るか。「いや、そら、分からん。明日(23日)は明日よ。(巨人は)今日よりももっと必死で来ると思うから」。岡田はそう話し、ムードを引き締めた。阪神が連勝しても2位なのは変わらないが、巨人にプレッシャーをかけることは間違いない。いよいよ面白くなってきた。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対巨人 試合後、阪神才木(左)をねぎらう岡田監督(撮影・江口和貴)
阪神対巨人 試合後、阪神才木(左)をねぎらう岡田監督(撮影・江口和貴)