「テル、どないなってんの?」。このオフ、知り合いからよく聞かれた。「ホンマに。どうということはないでしょけど」と、曖昧なのは申し訳なかったけれど詳しいことは知らなかったので仕方がない。

その佐藤輝明がこの日、キャンプ地の沖縄で虎番記者たちの取材を受け、契約を更改したことなどを話した。「いいな」と思ったのは言える範囲だけどある程度、情報を明かしたことかもしれない。

話題になっていたポスティング・システムによる大リーグ挑戦希望についても「代理人と球団の方で時間をかけて話し合いをさせてもらった」と明言。年俸についても「(出来高払いを含め)総額で5億円あたり」と言ったのも最近ではめずらしく、気持ちいい感じもする。

問題は今季終了後、時点での動向だが、そこもこちらの聞いている話では必ずどうこう…というハッキリしたものはない様子。そう思えば、これまで通りと言えばそうかもしれない。

それにしても。万が一、今季、佐藤がいない事態になっていれば悲願の連覇に向け、一気に様相が変わるところだった。それを思えば「ホッとしました」(竹内孝行副球団本部長)というセリフも実感が伴う。

それでも、正直に言えば「おもろいかも」と思っていた部分もある。近年はすっかり強くなった阪神だが往年のファンは過去のゴタゴタを知っているはず。なんでそんなことが起こるんや、という場面もあり、メディアを騒がせたものだ。

それも注目度が高いからこそなのだが、とにかく目が離せない球団という感じだった。そういう雰囲気が影を潜めた今になって、突然「球団と選手が対立!」などという事態が起これば「久しぶりな感じ」と思ったところだ。

何かとスマートになった昨今、そんなことはないのだが、この日、指揮官・藤川球児の談話が面白かった。佐藤について聞かれ、笑顔でこんな話をしたのだ。「報道で興味を持ってもらわなきゃいけない業界でもありますから。そういう意味で1つの協力にはなったかな」。これは結構、正論だと思う。

もちろん、ここからは本筋で頑張ってほしい。今年は冬季五輪、WBC、さらにサッカーW杯もある。そんな中、連覇を目指す阪神に注目してもらうために熱い日々が必要だ。さあキャンプ・インだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

契約を更改し会見を終えた阪神佐藤は記者に囲まれて質問に答える(撮影・加藤哉)
契約を更改し会見を終えた阪神佐藤は記者に囲まれて質問に答える(撮影・加藤哉)