サブちゃん対決は出身地に軍配が上がった。函館地区で、知内が函館西に逆転勝ちで、2年連続15度目の南北海道大会出場に王手をかけた。知内町は演歌歌手、北島三郎(78)の出身地で、相手の函館西は北島の母校。吹奏楽部が得点の度に奏でる、サブちゃんの代表曲「まつり」の後押しを受け、10安打の快勝だ。

 これが知内のヒット祭りだ。2回に先制を許したが、直後に同点。続く3回、3番佐藤海遊撃手(3年)の2点適時三塁打で勝ち越すと、その後も得点を重ね、チーム10安打で打ち勝った。2回戦の南茅部戦の25安打に続く2試合連続の2ケタ安打。佐藤は「チームはバッティングが持ち味なので」と胸を張った。

 球場には5度、歓喜のメロディーが響き渡った。「祭りだ祭りだ祭りだ」。得点を決めると、今年初めて応援に駆けつけた吹奏楽部が「まつり」を奏でた。知内町が生んだ演歌界の大御所の代表曲に後押しされ、チームの攻撃も勢いづいた。くしくも対戦相手はサブちゃんが通った学校。どちらのチームにとってもゆかりのある自慢の存在だが、白星をつかんだのは知内だった。吹奏楽部の沢辺諒顧問(25)は「伝統的にやっている曲。たくさん演奏できて良かったですね」と勝利を喜んだ。

 打撃力には自信を持って臨んでいる。春季地区予選では3回戦で函館大有斗に2-3のサヨナラ負けを喫した。7安打を放ったが、残塁は10。好機で1本が出なかった。大会後は3時間の全体練習のうち、約2時間は打撃強化に時間を割いた。「守備攻」と呼ばれる伝統的なケース打撃の練習方法では、マシンと1球勝負で打席に入り、チャンスでの精神力を磨いた。本間茂裕監督(60)は「練習通りやっていた」と本番で成果を発揮するナインの姿にうなずいた。

 円山切符を争う相手は昨秋に敗れた函館工だ。地区予選の組み合わせ決定後から、相手エース安田貴浩(3年)を想定して対策に取り組んできた。実現する対戦に、佐藤は「打ち勝ちたい」と力を込める。93年センバツ以来、夏は初めての甲子園を目指すナインの祭りはこれからだ。【保坂果那】

 ◆まつり 北島三郎の代表曲で84年11月に発売された。作詞なかにし礼、作曲原譲二(北島のペンネーム)。NHK紅白歌合戦では13年まで5度、大トリで歌唱された。