岩村田(長野)は接戦を制し、24年ぶりの準決勝進出。166センチ、53キロの「小さなエース」内堀光陽投手(2年)が最速106キロの直球を武器に1失点に抑えた。

 「小さな大エース」がマウンドで躍動した。岩村田の内堀光は、この試合最速の106キロの直球と、80キロ台の変化球を操り、相手打線を手玉に取った。速球投手全盛の時代にあって、全力投球が110キロにも満たないが、制球で勝負した。

 ボールを低めに集め1奪三振だったが、ゴロアウト11個でわずか1四球。打たせて取る投球に徹した。「捕手の配球通りに投げられました。球が遅いので、とにかくコースを突いて、相手が嫌がる投球をしようと思っていました」。直球に加えて、スライダーやカーブなどの変化球もキレが良かった。

 実は球場のスピードガンに表示されない遅い球もあった。「球速を上げることはできませんが、下げることはできる」と持ち味を最大限にいかした。

 もともと遊撃手で、投手を始めたのは昨秋からだった。花岡淳一監督(50)は「正直、練習試合で投げてくれればいいと思っていました」と話す。それでも内堀光は監督から教わった「遅い球でも、緩急を使えば打ち取れる」という言葉を信じた。春の県大会前には練習試合で完封し、自信もつけた。制球良く大崩れしない投球を続けた結果、今夏から背番号「1」を背負うほど成長した。

 相手小林綾(りょう)投手(2年)の最速は143キロで、味方打線は10三振を奪われながらも1得点。救援した投手からも追加点を奪って打線が援護した。22日の準決勝で対戦する松商学園は、24年前の決勝戦で敗れている相手。166センチの遅球エースが、快進撃を続けていく。【太田皐介】