智弁和歌山が20年ぶりに復活した師弟コンビで、6年ぶりの夏1勝をつかんだ。甲子園最多勝の高嶋仁監督(71)と、97年夏に全国制覇した当時の主将で元阪神の中谷仁コーチ(38)による“仁仁イズムで”0-6から2本塁打を含む13安打で逆転した。

 97年夏の初戦(2回戦)日本文理(新潟)戦も5点差逆転だった。この夏はさらに1点多い6点差をはね返し、強打の智弁和歌山復活を印象づけた。林は腰、右肘、左太ももに痛みを抱えていた。それでも「芯に当たったらどこにでも放り込める自信があった」と中堅へ高校29号の2ランを運んだ。冨田も「林には負けたくない」と同点2ランで続いた。「打撃が強い」と智弁和歌山を慕い、進学を決めた世代。夏初制覇でそのイメージを決定づけたのは、中谷主将が率いたチームだった。

 6年ぶりの勝利に、高嶋監督は「もうあかんのちゃうかなと思ったこともあったんですよ」と振り返った。そんな恩師に、中谷コーチは「久しぶりに一緒に野球をやって、先生の熱い部分は変わらない。高嶋野球は健在です」と笑った。2回戦の相手は大阪桐蔭だ。【堀まどか】