4度目の挑戦も大きな壁にはね返された。広陵(広島)は夏初優勝を狙った決勝で花咲徳栄(埼玉)の前に大差で敗れた。中井哲之監督(55)自身も、10年前の決勝で佐賀北に逆転満塁弾を浴びて屈して以来の挑戦だった。1大会最多本塁打記録をマークした中村奨成捕手(3年)を擁しても届かなかった夏頂点。新たにプラスされた悔しさを来年への糧にする。

 広陵・中井監督は、大差のついたスコアボードを見つめながら口を開いた。「残念です。ミスが流れを変えてしまった。もっともっと広陵、ガンバレということなんでしょう」。自身2度目、チームとして4度目の夏決勝も深紅の優勝旗はつかめなかった。「リベンジは簡単ではない」。涙はグッとこらえた。

 3年生にかけた。先発は背番号1の平元。「エースとして一番、練習していたし、ここまでチームを引っ張ってくれた。ここまで本来の姿ではなかったので、最後は本来の姿を見せてくれると思った」。左腕エースは初回に無死から3連打で2失点も、6失点した5回途中まで交代させなかった。「彼がマウンドにいることで、周りの3年生が打ってくれると信じていた」。4番も調子を落としていた加川。ラストサマーにかける教え子の底力を信じた采配だった。「彼らを使ったのは私。負けたのは私に責任があります」と3年生をかばった。