今秋ドラフト1位候補の報徳学園・小園海斗内野手(3年)は、泣きじゃくった。報徳学園が、東兵庫大会の決勝で市尼崎との接戦を制し、8年ぶり15度目の甲子園出場を決めた。「1、2年の時は夏の甲子園に出られなくて、すごく悔しい思いをして、それが込み上げてきた」。小園にとっては初めての夏の聖地だ。
0-0の5回1死、9番大崎秀真内野手(2年)が右翼線二塁打で出塁すると、小園の四球などで好機を拡大。1死満塁から相手一塁手の失策で2人が生還し、これが決勝点となった。大角健二監督(38)も「苦労した学年で、頭を抱える学年だった。力があるという評価をされる中で、『甲子園に出て当然』と言われたこともあります。負けられない代だったんですが、秋春ふがいない形で、結果本当に苦労して、それを思い出しました」とナインとともに涙した。
17年のセンバツで4強に輝きながら、夏は県大会4強で終わった。秋は県大会3回戦敗退。この春は県大会初戦で敗れた。試合後のミーティングで号泣する選手…。大角監督の「ここから男になろう! 絶対あきらめんな! はい上がるぞ!」の言葉から夏への道のりが始まった。
小園も「何かを変えないと」と決心。練習時に2リットル容器いっぱいの白米を食べ、さらに帰宅後にどんぶり飯を2杯たいらげた。母こずえさんも「おいしく食べられるように」と炊飯器からガス炊きに変えてくれ、2人で毎日体重計とにらめっこ。昨秋から体重は7キロ増の80キロに。下半身もたくましくなった。今大会打撃好調とはいかなかったが、大角監督は「守備面ですごくチームとして助かった。頼もしかった」と話した。
もちろん、3回には右翼フェンス直撃の二塁打を放つなど非凡な打撃センスもきらり。試合直後に目が赤かった小園は「さらに甲子園で活躍したいなと思いました。絶対日本一取りたいなと思います」と笑顔で宣言。帽子のつばに書いた夢。次に目指すは「日本一のショート」だ。【磯綾乃】
◆小園海斗(こぞの・かいと)2000年(平12)6月7日、兵庫県生まれ。小学1年から宝塚リトルで野球を始め、光ガ丘中では枚方ボーイズに所属。報徳学園では1年春から正遊撃手。2年春の甲子園に出場して4強。昨年はU18代表としてW杯に出場し、今年も第1次候補に選ばれている。遠投105メートル。50メートル走5秒9。178センチ、80キロ。右投げ左打ち。
◆報徳学園 1911年(明44)に報徳実業として創立した私立の男子校。24年に報徳商、52年から現校名。生徒数1127人。野球部は11年創部で部員数113人。甲子園出場は春21度、夏は15度目。優勝は春2度、夏1度。主なOBは元近鉄の金村義明氏、元ロッテの清水直行氏ら。所在地は西宮市上大市5の28の19。住友正博校長。
◆Vへの足跡◆
2回戦9―2伊丹西
3回戦10―0神戸甲北
4回戦4―2滝川二
準々決勝1―0長田
準決勝3―2神戸国際大付
決勝2―0市尼崎