新グラウンドへの感謝を結果で表した。気仙沼向洋(宮城)が9回の逆転劇で、5-4で利府に勝利。春秋を通じて、6年ぶりの県大会勝利を挙げた。

思わぬ形で勝利が転がり込んだ。1点を追う9回は2死一塁から、利府の守備陣が連続失策。決勝点は二、三塁から中堅手が正面の当たりを落球し、2人が生還した。小野寺三男監督(52)は「私の予想では9回できればいいかな、と思っていたが、戦ううちに選手がいけそうだと感じてくれた」と喜んだ。

東日本大震災で被災し、8月24日の2学期初日からようやく、新校舎での生活が始まった。10年夏には準Vに輝いた実力校も、気仙沼西のグラウンドを借り、練習試合はすべて遠征。この6年半で夏は3勝、春秋の県大会は12年秋の1勝のみ。8月1日から待望の、完成した専用練習場でスタートを切った。

右翼は107メートル、左翼は90メートル強を誇る。小野寺監督も「県立高校では一番広いし、水はけも良く少々の雨ではビクともしない。やっと思うような練習ができるようになりました」と胸を張るほど、戦う環境が整った。ミスは捕逸が1つあっただけで、守備でもリズムをつくった。主将の高橋優捕手(2年)は「時間を気にせず練習できる」とホームで鍛錬の成果を、次戦も発揮する。【中島正好】