筑陽学園(福岡)に初めての春到来! 第91回選抜高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)の出場32校を決める選考会が25日、大阪市内で行われ、九州からは筑陽学園をはじめ、明豊(大分)、大分、日章学園(宮崎)が選出された。21世紀枠では熊本西が選ばれた。初出場の筑陽学園は甲子園を「経験」した監督らとともにセンバツ初勝利を目指す。

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筑陽学園ナインが、九州王者としてプライドをもって初の大舞台に挑む。センバツ初出場が決まり江口祐司監督(56)は「九州王者というプライドをもって望みたい。投手陣を中心に負けないチームを目指し、1戦必勝で1つでも多く勝ちたい」と意気込んだ。巨人から今季広島に移籍した長野久義外野手(34)の母校が新たな歴史を刻んだ。

父のDNAを引き継いだ2人がその「プライド」を引っ張る。1994年夏の甲子園で準優勝した樟南(鹿児島)の右腕エースだった福岡真一郎氏(42)の長男、大真(たいしん)外野手(2年)は「打率を残せるように練習してきた。父には緊張する暇もないから楽しめと言われました」と笑みを浮かべた。現在、チームのトレーナーとしてサポートする父とともに「二人三脚」でセンバツの舞台に挑む。

1年生ながら遊撃手のレギュラー中村敢晴(かんせい)内野手の父は、92年夏の甲子園で全国制覇を成し遂げた西日本短大付(福岡)の主将だった中村寿博・日本文理大監督(44)。兄宜聖(たかまさ)外野手(18=西日本短大付)は、昨年育成ドラフト4位でソフトバンクに入団した。「父に並びたいと思ってるのでチャンスだと思って頑張りたい」と兄もできなかった甲子園でのプレーを楽しみにしていた。

江口監督自身も92年西日本短大付全国優勝時のコーチとしてベンチにいた。「ああいう喜びをまた感じたい」と監督としての甲子園初勝利がかかる。15年5月には当時1年生だった部員が練習中に亡くなる不幸があった。「責任を取って監督を辞めることを考えたが、理事長先生からの励ましの言葉もあったおかげでこのセンバツ出場があると思う」。月命日に墓参りを欠かさない指揮官はこの日も墓前に報告した。

「変わるのは周りで、お前たちは変わらない」。江口監督は選手にそう言い聞かせてきた。この日もいつものように練習した。「プライド」を胸に、筑陽学園ナインが、平成最後のセンバツで歴史をつくる。【浦田由紀夫】

 

○…筑陽学園の自慢の投手陣が大舞台での活躍を狙う。右腕の西雄大(2年)西舘昂汰(2年)に、左腕の菅井一輝(2年)は、強力投手陣の中心。西舘は「甲子園では堂々とした投球をしたい。センバツまでに150キロを出したい」と意気込んだ。菅井は「下半身中心に体重を増やして球にキレが出てきた。みんなでつないで勝ちたい」と甲子園初勝利に燃えていた。