第91回選抜高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)の選考委員会が25日、大阪市内で開かれ、東北勢からは2校が選ばれた。

秋季東北大会優勝の八戸学院光星(青森)は3年ぶり10度目の出場を決めた。12年に準優勝に輝いた名門は、平成最後の大会で悲願の日本一を目指す。東北大会準Vの盛岡大付(岩手)も、2年ぶり5度目の出場を決めた。東北大会2勝を挙げ4強入りを果たし、21世紀枠に推薦されていた古川(宮城)は無念の落選となった。組み合わせ抽選会は3月15日に大阪市内で行われる。

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機は熟した。過去、3季連続甲子園準優勝経験のある八戸学院光星が「4度目の正直」で東北勢初の全国制覇に挑む。選抜出場が決まると仲井宗基監督(48)は「日本一になる難しさを痛感してきただけに、今までは簡単に言ってはいけないと思ってきた。でも今年は違う。あえて私から優勝を目指すと言った」と並々ならぬ決意を口にした。

東北大会準決勝終了後に「甲子園に行くだけじゃない。優勝するんだ。その可能性がお前たちにはある」と声をかけた。武岡龍世主将(2年)は「聞いた時はびっくりしました。でも意識が変わりました」。昨秋の神宮大会では1回戦で東邦(愛知)を撃破。2回戦こそ高松商(香川)に敗れたが、初戦突破は阪神北條史也(24)、ロッテ田村龍弘(24)らを擁し優勝した2011年以来。昨夏の甲子園経験者8人が残り、投手もタイプの違う4人がそろうなど、「今年こそは」の手応えを感じている。

仲井監督は昨年、U-18日本代表のヘッドコーチとして吉田輝星(日本ハム)、根尾昂(中日)、小園海斗(広島)、藤原恭大(ロッテ)らタレント軍団と接した。「技術とか、やっている野球は大差がなかった。むしろ我々の方が高いレベルでできている部分もあった」と自信を深めた。一方で「とにかく体が違った」とフィジカル面の差を痛感。ウエートトレーニングの強化と並行し、間食を増やすことで武岡主将も70キロから80キロに体重が増えるなどパワーアップした。投手陣には選抜までに球速10キロアップを課した。これまで特別メニューを設けなかったが、金足農・吉田を指導した八戸学院大・正村公弘監督に指導を頼むなどレベルアップに励んできた。

サッカーで日本一に輝いた青森山田・黒田剛監督(48)とは食事にも行く仲。「雪国という厳しい環境にいるからこそできることがある。本当に刺激をうけています」と話す、桜宮高、東北福祉大で2学年先輩だった阪神矢野燿大監督(50)の激励会には「先輩に負けないようウチも日本一を目指します」とビデオメッセージを送った。本番まで約2カ月。東北にとって悲願の日本一を目指し、着実に歩を進める。【野上伸悟】