東海大浦安(千葉)の瀬戸康彦新監督(36)が、高校野球の監督として公式戦の初陣を飾った。

4月1日の就任から2週間足らずでの1勝に「ホッとしました」と笑顔を見せた。

攻撃のサインは決めたばかり。「今日は結局ノーサイン、盗塁も選手判断のグリーンライトでした」という状況ながら、ナインは積極的に打ち、走り、新監督に初勝利を届けた。

タテジマに包まれた。試合後、うれしい顔が待っていた。東海大・安藤強監督(55)だ。「うちも明日リーグ戦だけれど、これからすぐ戻れば夕方の練習に間に合いますから」と、神奈川・平塚の湘南キャンパスから訪れた。2月末まで東海大の助監督を務めていた“元・参謀”の瀬戸新監督を応援に来たのだ。

17年2月に現職就任した安藤氏は、丸2年の時間をともにした。「瀬戸は本当にまじめ。コツコツとやれる。高校野球(の監督)タイプなんじゃないかなと思っていました」。瀬戸新監督も、選手への対応などで安藤氏のマネをすることがあるという。がっちり握手し、互いの健闘を誓った。

瀬戸新監督は06年春に東海大を卒業。そのままコーチに就任し、以後13年間、大学生を指導してきた。高校は東海大相模(神奈川)。タテジマ歴はもう21年になる。アクロバティックな遊撃守備は、高校時代から目立っていた。

00年春にはセンバツ優勝に貢献。その後さらに2度の全国制覇を果たした同校・門馬敬治監督(49)の就任1年目だった。「瀬戸は1年生からレギュラーを取ったけれど、夏は自分のミスもあって準優勝。それを取り戻そうと、こつこつと1人で必死にやっていた。我慢強かった」と門馬氏は懐かしむ。

「大学でも3人の監督に仕えたのかな。粘り強く、多くのことを吸収できたのではと思います。瀬戸は粘り強くやれるはず。歩んできた道が、あいつの基本になっている」と同じ土俵に立つ教え子の成功を確信している。

門馬監督は瀬戸新監督にそう多くの言葉は直接かけていない。ただ、新監督の携帯電話には多くの人から「門馬さんが『瀬戸をよろしく』って言ってたよ」と連絡が入るという。「そういうつながりを本当にありがたく感じます」と、新監督はタテジマに感謝しきりだ。

「応援される集団になりたいです」と目標を掲げる。「勝ち負けを追い求めるのもそうですが、まずは全力疾走も含めて、野球を一生懸命やりたい。ちゃんとやっている集団だけが応援されると思うので」。01年以降甲子園に縁がない東海大浦安で、新人監督の奮闘が始まった。【金子真仁】