センバツ出場の横浜(神奈川)が延長12回の苦戦の末に勝利し、夏の神奈川大会シード権を獲得した。

横浜の「背番号1」が一皮むけた。プロ注目左腕・及川雅貴投手(3年)ではない。最速144キロ右腕・木下幹也投手(2年)だ。延長12回を投げ抜き、勝利を呼び込んだ。「最後まで腕を振ることができました」と充実の表情で振り返った。

エースナンバーは1週間前に受け取った。「今まで偉大な先輩方がつけてきた番号。プレッシャーもありました」。マウンドでは躍動。武器のスプリットもさえ、自身初の12回完投。三振も15個奪った。平田徹監督(35)も「背番号にふさわしい投球をしてくれた。今日は木下に尽きます」とたたえた。

ベンチからは「モトヤ(幹也)、足ついてから!」との声が何度もあった。「ボールが先行すると、投げ急いでリリースが早くなってしまうことがあるので」と木下。内野陣も内海貴斗主将(3年)の判断で、効果的にマウンドへ足を運び、2年生右腕を支えた。

センバツで制球を乱して崩れた及川は、この日は「10」をつけた。代打で出場し右翼守備についただけ。ただ及川に失意の様子はなく、最終回のマウンドへ向かう木下を「ラスト締めてけよ、モトヤ!」と笑顔で送り出し、自らも途中出場の右翼守備へ駆けた。

平田監督は及川について「もう1度ショート(短いイニング)からで、夏に向けて自信を積み重ねてほしい。復活を期待し見守りたい」と言及。この春は木下や、大型左腕の松本隆之介投手(2年)の登板機会が増えそうだ。万全なら全国レベルの投手陣を底上げし、神奈川夏4連覇を狙う。