創部5年目のふたば未来学園はV候補の福島商を撃破し、初の4強入り。上位3校に与えられる東北大会(6月6日開幕、山形)出場権獲得に王手をかけた。

創部5年目のふたば未来学園が、初の4強入りを決めた。エース国分渉投手(3年)が9回7安打142球の熱投で、古豪・福島商を封じ込めた。

まるで優勝したかのようだった。最後の打者が右飛に倒れると、マウンドの国分を中心に歓喜の輪ができた。2回表に先制も、その裏に相手4番渡辺直紀遊撃手(3年)に、高めに抜けたカーブを左翼席に運ばれた。地区大会では絶対王者聖光学院に土をつけた優勝候補。「こんなに打つんだ」と目を覚まし、そこから丁寧に低めをついた。「打たせてとるピッチングを意識した」との言葉とは裏腹に14三振の快投だった。

ふたば未来学園は、震災と原発事故で甚大な被害を受けた双葉郡広野町に15年に開校した。建学の精神は「変革者たれ」。自らを変革し、地域を変革し、社会を変革する。自分の頭で考え抜こうとする主体性は、野球部にも浸透している。部員が属する学科トップアスリート系列では週に10時間、野球活動が授業として認められる。遠藤太監督は「みんな一生懸命で真面目で自覚を持っている。試合の動き、流れ、波を選手たちが感じながら次の1球、プレーを考えられるようになってほしい」と期待する。初の8強から4強、そして次は東北大会出場を狙う。「夏の大会に向けての今日であり明日でもある」と遠藤監督。高橋佑輝主将(3年)は「自分たちが歴史をつくりたい」と一丸となり、さらなる未来を切り開く。【野上伸悟】