尚志が最終回に3点を奪い、いわき総合に5-4で逆転サヨナラ勝ちした。2点を追う9回裏、1点を返してなお無死満塁から、吉田典弘外野手(3年)が中前へサヨナラ2点適時打。最速142キロ右腕・鈴木皓太(3年)が5回に5連打で4点を失う劣勢から、土壇場でひっくり返した。

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尚志はサッカーだけじゃない! 野球部が意地の逆転サヨナラで初戦を突破した。春から打撃不振に苦しんできた吉田が決着をつけた。「つなげるという気持ちしかなかった。ベンチのムードが良かったんで、追い込まれた感じではなく、勝っているような雰囲気だった」。福地大祐監督(38)は「3カ月間スランプに苦しんで必死に練習してきた子なので、結果が出てよかった」とたたえた。

今年1月、埼玉スタジアムで行われた全国高校サッカー選手権準決勝に全校応援で駆けつけた。武田慶彦主将(3年)は「同じ学年の染野(唯月、3年)君とかが、あの大舞台でプレーしているのを見てすごいなと思ったし、悔しい部分もあった」。鹿島入りが決まったU-18日本代表FW染野とクラスメートの宮原良季外野手(3年)は「教室には唯月が載った新聞が張ってある。サッカー部には負けていられない」と大きな刺激を受けている。前日11日も「頑張れよ」と激励され、9回には代打で貴重なスクイズを決めた。「甲子園に行ったら今度は唯月に来てもらいたい」と笑った。

春のブルペン投球で142キロを記録し注目された鈴木は、初戦の怖さを思い知った。「立ち上がりに緊張して制球を乱してしまった」。それでも連打で逆転ビッグイニングとされた5回以外は要所を締めて無失点。この日の最速は134キロだったが、11奪三振と素質の片りんを見せた。「初戦で苦しみながら勝てたのを自信に、これから1戦必勝の気持ちで大きな目標に向かって階段を上っていきたい」と、サッカー部に続く大舞台「甲子園」への思いを強くした。【野上伸悟】