第102回全国高校野球選手権大会(8月10日開幕、甲子園)が戦後初めて中止されることが15日、分かった。無観客での開催も検討されたが、8都道府県で新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が続いており、8月上旬までに49代表がそろうのは困難な上、たとえそろっても全国大会の開催には移動、宿泊に感染リスクが伴うと判断された。

日本高野連が20日に運営委員会を開き、中止を発表する見込みだ。夏の甲子園大会中止は米騒動の1918年、戦争悪化の41年と過去2度あり、今回で79年ぶり3度目となる。

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新型コロナウイルスが春のセンバツに続き、夏も球児から甲子園の舞台を奪った。日本高野連の小倉好正事務局長(62)はこの日、大阪市内の日本高野連で対応。「20日の運営委員会へ向けて、あらゆる状況を想定しながら情報収集に努めている」と話すにとどめたが、関係者の話を総合すると中止の決断に至った。運営委員会後に正式発表するとみられる。

例年通り、8月上旬までに49代表をそろえるのが難しい可能性が考慮された。全国の緊急事態宣言が6日から延長になり、休校も延長。緊急事態宣言は14日に39県で解除されたとはいえ、8都道府県で続いている。全ての地方大会を予定通り開催できる保証は現時点でない。

学業の遅れも大きな影響を与えている。今後学校が再開する地域でも、まずは授業優先となる。夏休み期間が短縮されるところもある。部活動がすぐに再開できるとは限らない。暑熱対策も含めて対外試合まで少なくとも1カ月程度の練習が必要とされ、7月の地方大会までの準備期間はすでに限られている。その分、ケガの危険性も高まる。

たとえ甲子園開幕までに49代表がそろっても、全国大会となれば、やはり移動、宿泊による感染リスクが伴う。無観客も検討されたが、最終的には甲子園大会は断念せざるを得なかった。甲子園が中止でも、各都道府県大会は一律中止とはしない。今後、各都道府県高野連が開催可否を協議する。8月の甲子園が中止となることで、各地方大会は日程に余裕を持たせた開催が可能となる。

<過去の選手権大会中止>

◆1918年(大7)第4回大会 富山県で起きた米価急騰に抗議する暴動(米騒動)が全国へ広まり、8月16日に中止決定。同9日に全国14代表が出そろい、慶応普通部(東京)など代表校は大阪入り。13日には組み合わせ抽選が行われた。一時は大会延期とされたが、事態は好転せず中止になった。

◆41年(昭16)第27回大会 戦局が深刻化し、文部省次官通達でスポーツの全国的な催しが中止された。地方大会は6月14日の鹿児島大会から始まったが、一部の県は10月に開催したり途中で打ち切った。42年から45年までは4年間中断。なお、42年には文部省と外郭団体の大日本学徒体育振興会が主催し、正式な大会記録とせず16代表で争う「幻の大会」を開催して徳島商が優勝している。