秋季県大会に39年ぶり出場の柏木農が同初出場の大間に逆転勝ちし、創部初の同大会勝利を挙げた。

エースで4番の佐藤幻瑛(げんえい)投手(1年)が、最速137キロの直球と4種類の変化球を織り交ぜ、7安打2失点の完投勝ち。打っては3打数1安打1打点と、大黒柱の「スーパー1年生」が投打で活躍した。

1年生右腕が堂々と、最後まで投げきった。佐藤は初回2死から制球が乱れ、四球を挟む3連打で2失点の立ち上がり。それでも「緊張はなかった。直球のコントロールが良くなかったので、変化球で勝負しようと思った」と冷静だった。2回以降はパワーカーブ、スライダー、70キロ台のスローカーブを軸に、勝負球にはスプリットを選択。変幻自在の投球でゼロを並べた。「変化球の制球が安定していて、相手打線にはまってくれた」と納得の表情を見せた。

学校生活では食品科学科を専攻し、「食と農業」に関わる知識と技術を学ぶ。1年生はイチゴのヘタ取りから始まり、ジャムの製造なども行う。「料理が好きで入学しました。でも、得意料理とかはない」。自宅ではチャーハンを作る程度だが、この日はマグロ漁業で有名な大間打線を125球で“料理”。地区予選から完投を続け、背番号1のマウンドさばきにも貫禄が増すばかりだ。

五十嵐喜代敬監督(46)は「期待の1年生ですよ。県大会出場も彼のおかげ。真っすぐと変化球のコンビネーションに課題はありますが、投手らしい性格をしている。打撃でもチームで一番鋭いスイングをしている」とほれ込む。

次戦は20日、今夏の県独自大会で優勝した青森山田との大一番を迎える。指揮官は「ピンチ、チャンス、どんな場面でも自然体で戦いたい」と意気込む。チームの合言葉は「楽しむ」。強豪私学の牙城を崩し、青森の秋に「ハクノウ旋風」を巻き起こすつもりだ。【佐藤究】