<高校野球神奈川大会:神奈川商工8-7横浜立野>◇1回戦◇10日◇サーティーフォー保土ケ谷球場

高校野球のドラマは勝者だけのものじゃない。むしろ、敗者になったからこそ、語られる選手や監督のストーリーがある。「キミしか勝たん」。精いっぱい戦ったキミに敬意を込めて。

 ◇  ◇  ◇

横浜立野(神奈川)の現役大学生、西村捷(さとし)監督(22)の夏が終わった。同校野球部OBで、関東学院大に在学しながらチームを率いて3年目。大学卒業に伴い、指揮を執るのは今夏が最後で必死にタクトを振り抜いた。

1-7で迎えた5回。主将で4番の大矢賢人外野手(3年)の適時二塁打などで4点を返した。6-8で迎えた8回には内野ゴロの間に1点を挙げた。追い上げたが、あと1歩及ばず7-8で敗戦。それでも西村監督は「(新チームになってから)夏の勝利のためにやると、ずっと言ってきた。勝てなかったが、チームとして取り組んできたことが実った」と選手たちをねぎらった。

今後は、指導者になるべく神奈川県の教職員を目指す。「勝たせてあげられなくてごめん。今までありがとう」。頼れる兄貴分は、これからも後輩たちを見守っていく。【勝部晃多】