星稜・マーガード真偉輝キアン投手(3年)は治り切っていない爪に力を込めた。初回先頭を自己最速タイも141キロで追い込み、右手中指に負荷のかかるカットボールで空振り三振。「初回は飛ばしていこう」と佐々木捕手と決めた通り、打者3人を圧倒した。

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「痛みも違和感もなかったので、全然いけました」。1回戦の天理(奈良)戦で右手中指の爪が割れ8回途中降板。昨秋に続くアクシデントだったが、林和成監督(46)に先発を志願した。4日間キャッチボールもしない異例のノースロー調整。爪をマニキュアで塗り固めて臨んだ。「もともとあまり投球練習するタイプじゃない。不安はなかった」と涼しい顔だった。

2回からは一転、変化球を軸に技巧をこらした。6回5安打5奪三振で1失点。援護もあり、翌日の準々決勝に備えて余力を持って交代した。起用を迷っていた林監督は「投げたい、いけますと力強く言ってくれた。信じて送り出した」と頼もしげだった。

沖縄出身。マイペースで穏やかな少年が中3の夏、初めて我を通した。両親に頼み、エース奥川恭伸を擁した星稜と履正社(大阪)の決勝を見るため3人で飛行機に乗った。「ここで野球がしたい」。北陸の名門校で甲子園優勝を志した。

「星稜は(春)ベスト4に行ったことがない。壁を越えたい」と力を込める。「ホスト界の帝王」ことローランドを「男前でかっこいい」と尊敬するマーガード。28日の国学院久我山戦は連投になる。投げるのは俺か、俺以外か-。小松辰雄、松井秀喜、奥川らの先輩超えを目指し、星稜の歴史に挑む。【柏原誠】

○…4番若狭がマーガードを援護する中押し2ランを放った。1点リードの3回、五島の浮いたスライダーを高々と左翼席に運んだ。高校通算8本目。本塁打の少ない今大会は浦和学院の2本に続く3号で、右打者では初めて。星稜の4番がセンバツで本塁打を放つのは、92年に松井秀喜が2回戦の堀越戦(東京)で放って以来30年ぶりだった。「入るかなという感触はあった。あこがれの舞台で、まさか自分が打てるとは思っていなかったのですごくうれしい。ボールは両親に渡したいです」と満面の笑みだった。

◆毎回安打 星稜が記録。19年山梨学院が1回戦の札幌第一戦で記録して以来。