大阪桐蔭が履正社との接戦を3-2で制して優勝した。エース前田悠伍投手(2年)がセンバツ以来の復帰登板で2失点完投。打線は松尾汐恩捕手(3年)のソロなどで援護した。

公式戦27連勝で甲子園連覇へはずみをつけた。履正社は大阪桐蔭の快進撃阻止へ手応えもつかむ惜敗だった。

大阪桐蔭・前田が吠(ほ)えた。苦しんで27個目のアウトにたどり着いた。幼さの残る2年生エースの顔が最後にほころんだ。

センバツでは13回を投げて防御率0・00。完全無欠の投球で優勝を支えた。だが甲子園後、コンディション調整もあり実戦から離れた。「春の大会は投げたくて投げたくて。楽しみが多かったです」。登板は紅白戦のみで、復帰戦が決勝の履正社戦となった。

初回から球が上ずり、3回には左打者に3安打されて2点を先制された。

「久しぶりの実戦で冷静になれていなかった。履正社の打者は体が大きくなっていて、秋より威圧感があった。甘くなったら打たれると思った」。

珍しく単調になっていた。捕手松尾の助言でフォームのリズムを変えるなど修正した。

「(4回以降)少し冷静になれたので、成長というか勉強できた部分です」。

前田に全幅の信頼を置く西谷浩一監督(52)は、ある程度打たれると想定していた。「前田が打たれた中で、野手がどうするかも見たかった。打たれろと思っていました(笑い)。春はいろいろと試せる。やるべきことが見えました」。

2点先制された直後に松尾汐恩捕手(3年)が左翼越えソロで劣勢の空気をすぐに一変させた。同点の8回は四球、犠打、安打、犠飛で決勝点をもぎ取った。粘り強さこそが真骨頂。松尾は「点を取られて逆にいい空気になった。こういう試合がうちの本来の試合」。強力なライバルとの接戦が、また王者を強くした。【柏原誠】

○…履正社は次の1点が取れなかった。3回、光弘帆高内野手(3年)の右翼線三塁打などで2点先制。好左腕の前田を攻め立てた。ただすぐに反撃を許し、流れを押し戻された。昨秋に続く惜敗。「打倒桐蔭」が合言葉だけに新任の多田晃監督(43)は「桐蔭さんはやっぱりいいチーム。野球が上手です。1点差だが、この1点が大きい。ここをどう詰めるか選手と話していきたい」と夏を見据えた。