“宝刀”スライダーで「0」を刻む。第95回選抜高校野球大会(甲子園)で慶応(神奈川)を破り、初戦を突破した仙台育英(宮城)の最速146キロ右腕・湯田統真(3年)が、3回戦の龍谷大平安(京都)戦への意気込みを語った。WBC決勝が行われた22日は日本-米国を観戦。3大会ぶりに世界一に輝いた侍ジャパンのように、与えられた場面で自分の役割を果たす決意を示した。

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「投手王国・仙台育英」を引っ張る湯田が、2度目の甲子園で力投を見せた。慶応戦は1点リードの9回無死一塁から救援登板し、今大会初タイブレークの延長10回2死満塁では清原勝児内野手(2年)と対戦。カウント1-2から勝負の4球目を前に、間を置いた。「あっち(慶応)の応援が一番盛り上がる場面で、冷静に自分のピッチングをしよう」。意を決して右腕を振り、外角低めスライダーで空振り三振。ピンチを切り抜け、同裏のサヨナラ勝ちに導いた。

宝刀を磨いて帰ってきた。「スライダーの球速を上げるためにも、ストレートの球速が上がらないとどうにもならない」。今冬はメディシンボールを使ったトレーニングやウエートで体力強化し、平均球速がアップ。今後に向け、WBC優勝を決めた大谷翔平投手(28=エンゼルス)のスライダーもいい手本となった。「ストライクゾーンから一気にボールゾーンぐらいまで曲がり、球速も出ていた。最後の決め球としても、とてもいいボール。ああいうスライダーを投げられるようになりたい」。

8強入りをかけて戦う龍谷大平安は初戦の長崎日大戦で、2点を追う7回2死から5連打で逆転勝ち。全国最多42度の出場を誇る名門に挑む湯田は「1イニングずつ先頭を切って、集中的な攻撃をさせないように丁寧に投げきることが大事。どの役割でもしっかり自分のパフォーマンスを出せるようにしっかり準備したい」と闘志を燃やした。日本中を興奮させた侍のように、安定した投球で甲子園を沸かせる。【相沢孔志】