やはり“吉兆”だった。文星芸大付(栃木)が作新学院を6-5のサヨナラで下し、16年ぶり11度目の夏の甲子園出場を決めた。32年前、主将として(当時の校名は宇都宮学園)夏の県大会で選手宣誓をして、甲子園に出場した高根沢力監督(49)と同じように、今大会は開会式で入江陽内野手(3年)が選手宣誓役を務め、聖地への切符を手にした。第105回全国高等学校野球大会選手権記念大会(甲子園)は8月6日に開幕する。
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同点の9回裏、黒崎翔太捕手(3年)の大飛球が、左翼席に消えた。劇的サヨナラ勝利での甲子園出場決定。“予感”は、本物だった。
32年前の夏、主将だった高根沢監督(当時の校名は宇都宮学園)は栃木大会の開会式で選手宣誓を務め、そのまま大会を制した。今年6月の抽選会では、入江主将が見事に選手宣誓役のクジを引き当てた。「高根沢監督が選手宣誓をして甲子園に行ったと聞いた。その流れに近づけたのではないかな」。同じように、聖地への道を突き進んだ。
決勝の相手は昨秋、今春の県大会で敗れた作新学院だった。同監督は「作新が相手だといつも選手が萎縮していたが、入江が選手宣誓もしたから大丈夫だと言い聞かせてきた」と話した。この日、3番で出場した副主将の曽我雄斗内野手(3年)も「試合前の雰囲気で行けると思っていた」と優勝の気配を感じていた。
文星芸大付には宇都宮学園時代から代々受け継がれる「ライオン主義」という校是がある。「ライオンが獲物を捕らえるように、直面する全てのことにいつでも全力投球する」という意味。ユニホームの右袖には伝統の「Ugaku」の文字も刻まれている。チームも「獅命~託された想いを胸に新時代へ~」をスローガンに掲げ、入江主将は選手宣誓で「甲子園に行くことが私たちの獅命(使命)だと思っています」と言い切った。新時代を切り開き、「吾等学徒の使命は重し」と校歌を歌い上げた文星ナインの頬には大粒の嬉し涙が伝っていた。【黒須亮】
◆文星芸大付 1911年(明44)、宇都宮実用英語簿記学校として設立された私立校。1948年に宇都宮学園と改称し、2003年に現校名。生徒数は949人(うち女子100人)、野球部は1915年に創部で部員数は90人。甲子園出場は春2度、夏は11回目。主な卒業生は元ヤクルト真中満、元西武片岡保幸。所在地は宇都宮市睦町1の4。上野敬子校長。

