<全国高校野球選手権:仙台育英4-3履正社>◇17日◇3回戦

高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。

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履正社のエース増田壮投手(3年)は仙台育英戦に先発して7回途中3失点。2回に先制2ランを浴びたが、粘り抜いて接戦に持ち込んだ。「負けてしまったけど、いい試合ができたと思います」と胸を張った。

センバツを控えた今年3月。学校生活の緩みをとがめられ、精神的にどん底まで落ちた。その後、38~39度の発熱が2カ月近くも毎日続いた。37度より下がることはなかった。原因は不明のまま。「練習からも外されて、結果も出せず、本当に苦しかったです」。

天真らんまんな生粋の“野球小僧”。幼稚園の時に習ったサッカーより野球を選び、家のふすまが破れるほど夜中までボールを投げ、カラーバットを振りまくった。日本一になるために名門を選び、1年秋から背番号1をもらった。順調すぎる野球人生に大きな壁が待っていた。発熱が完全に治まったのは6月だった。

ギリギリでの再スタート。「チームが勝つために何をしたらいいかと考えるようになりました」。成長して帰ってきた。山あり谷ありの高校野球は、敗者のお立ち台で終わりを迎えた。「支えてくれる人がいるから野球ができているんだと…」。そこまで言うと涙があふれた。【柏原誠】