<全国高校野球選手権:おかやま山陽7-2日大三>◇17日◇3回戦

高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。

   ◇   ◇   ◇

日大三(西東京)のエース安田虎汰郎投手(3年)は試合後、二宮主将と肩を抱き合いながら号泣した。「すばらしい仲間、すばらしい指導者に恵まれました。僕は日本一幸せなエースです」。土を集めた手で涙をふき、顔は泥だらけ。取材を終えると、三木有造監督(49)が自らのタオルでぬぐってくれた。

魔球“伊勢エビチェンジアップ”を操り、今大会1、2回戦と合計16回1/3を無失点に抑えていた。しかし、初回に初の失点を許すと、5回までに6失点。決め球を投げる前に安打を許した。「データうんぬんではなく、最後は気持ち。自分が踏ん張れず情けないです」。涙は止まらなかった。

表情や話し方、雰囲気が憧れの人に似てきた。ジャージー姿で寮で観葉植物に水をやっていると、チームメートから「監督さんがいるかと思った」「なんで監督さんがいるの?」と驚かれる。監督さんとは、今年3月に退任した小倉全由前監督(66)のこと。中学時代に日大三の試合を見て、指導を受けたいと進学を決めた。「うれしいっす。監督さんに言うと、オマエと一緒にするなって言われますけど(笑い)」。

一緒に生活をし、指導を受けて、たくさんの影響をもらった。将来の夢は「高校野球の指導者」。「甲子園は最高の場所、素晴らしい場所でした。ここで野球ができてよかった」。いつかまた、戻ってきてほしい。【保坂恭子】