<高校野球南北海道大会:北海6-2函館大有斗>◇20日◇準々決勝
47年ぶりの春夏連続甲子園へ大きく前進だ。センバツ8強の北海が函館大有斗を破り、南北海道ベスト4一番乗り。1点を追う7回裏1死一、三塁から、4番川越誠司右翼手(3年)が左中間へ逆転の決勝2点適時打を放った。川越を軸にする左打者が、春の全道V左腕・堤口の外角直球を狙い打ちし、終盤に攻略した。
好機がやって来るのを、辛抱強く待ち続けた古豪の粘り勝ちだった。最高気温26度、グラウンドでは30度近い暑さの中での熱闘。北海打線は序盤、函館大有斗・堤口にできるだけ多くの球数を投げさせた。1回24球、2回15球と5回までに75球。極端な「待球」ではないにしても、優勝候補同士のタフな試合で、好敵手の体力を少しずつ消耗させていった。
もうひとつの作戦にも、賭けた。先発の左打者5人は、堤口が自信を持つ外角直球を狙った。願ってもない場面が、1-2の7回裏に訪れた。1死二塁。3番の松本は左打席に入る前、次打者の川越に「僕がつなぎますから、決めてください」と声をかけた。有言実行で外角直球を流し一、三塁。同じ左打者の川越も、外のストレートを左中間へ運んだ。同点、逆転の走者が生還した。「後輩に言われたら、ちょっと…」。川越は気持ちを落ち着けて、振り抜いた。集めた11安打のうち、左打者で9安打。狙いが的中した。
平川敦監督(40)は試合後、笑みを浮かべて言った。「特に松本、川越が素晴らしかった。左打者が何とかしてくれればと思っていましたから」。ベンチも選手を信じ、チャンスを待った。松本(桃太郎)は春の甲子園2回戦、天理(奈良)戦で代打決勝打を放ち、“北海の桃太郎”として時の人に。ここぞの場面では頭の中で実況、解説しながら打席に入るという。好機を広げた時は「曲げ(カーブ)はないでしょう。狙いは外角直球ですね」だった。川越は同1回戦の創志学園(岡山)戦でも決勝本塁打を放つなど、チーム一の勝負強さを誇る。
昨秋の明治神宮大会、そしてセンバツと、全国強豪と戦ううちに力をつけていた。西尾匡人主将(3年)は「接戦は予想通り。これまでの大舞台がいい経験となり、生きています」と胸を張った。難敵相手にも、落ち着いて、各人の役割をクールに果たした北海戦士が、春に続く盛夏の夢に向かう。【中尾猛】

