<高校野球山形大会:山形中央5-1鶴岡東>◇23日◇準決勝◇荘銀・日新スタジアム

 166球15奪三振の力投も実らず、鶴岡東・海藤一将投手(3年)が1発に沈んだ。「もっと集中する場面。気を抜いた球」。山形中央の2年生4番青木陸に初回、スライダーを左越えに2点本塁打を運ばれた。今大会14イニング無失点の左腕エースのリズムが狂った。その青木に8回にもソロを浴びて計5失点。「悔しいです」と目を真っ赤にした。

 入学当初は、最速110キロにも満たなかった。山形の出身で「県外の選手もいて、それが刺激になって頑張れた」と打ち明けた。冬場は雪の上を長靴を履いて1日10キロ走り込んだ。この春から「真っすぐに力が出た」(海藤)と、最速は132キロまでアップ。打たせて取るタイプが、この夏は完封した3回戦の天童戦でも15奪三振。速球に威力が増し武器のスライダーが生きた。登板3試合23イニングで奪三振は38を数えた。

 最後まで代えなかった佐藤俊監督(42)は「エースですから。上のステージでもやれる選手」と今後を期待した。中学3年だった3年前、鶴岡東の甲子園出場を見て入学した海藤は、進学を希望する。高校野球での夢はかなえられなかったが、来年から新しい希望を見いだす。【久野朗】