1度は騎手を目指した紅葉川(東東京)・前田政彦(2年)は、三塁コーチとして「縁の下の力持ち」に徹する。
中学校卒業後、競馬学校(地方競馬教養センター)に入学。全寮制で、午前4時半に起床し、消灯時間の午後9時まで、騎手になるための訓練を必死にこなした。馬が好きで目指した道だったが、食事制限と訓練の厳しさに耐え切れず、結局、8カ月余りで断念した。「自分が甘かった」と振り返る。
1年遅れで入学したため、今年が最後の夏になる可能性もある。騎手を志望しただけに164センチ、53キロとかなり小柄。それでも中村亮平主将(3年)が「バカみたいに明るい」と感じるほど親しみやすい性格で、すぐに仲間と打ち解けた。しかし腰つい分離症を患いプレーをあきらめ、昨夏以降から三塁コーチ兼マネジャーとしてチームを支える決心をした。マネジャーでの甲子園出場経験がある才野秀樹監督(40)に鍛えられ「頭の回転が良く、信頼している」といわれるまでに成長し、エースの龍大地(3年)も「声が通るし、選手以上に熱い」と今ではチームのムードメーカー。5月5日には競馬学校の同期、川島正太郎騎手が船橋競馬でデビューから2戦目にして初勝利を挙げた。「刺激を受けた。今度は自分が頑張る番」。前田の心に火が付いた。【茶木哲】

