<高校野球宮城大会>◇11日◇1回戦
昨夏県4強の気仙沼向洋が、昨秋県王者の古川学園を1-0で下した。昨秋、投手に転向したばかりの左腕エース吉田圭汰(3年)が、散発4安打9三振で人生初完封。打線も相手の好左腕、氏家優悟(3年)から1点をもぎ取って好発進した。
1-0の9回表2死、最も警戒していた相手4番の白井雄真(3年)を空振り三振に切ると、ポーカーフェースの吉田が雄たけびを上げた。「最後まで勝負は分からない。集中して変化球を低めに集めた」。昨秋準々決勝の石巻商戦、今春1回戦の伊具戦とも、1点リードの9回裏に2点を奪われ、逆転サヨナラ負けした。最終回の怖さを、身をもって知っていた。
昨秋の県王者を食った。立役者は、投手経験1年未満の吉田だ。昨夏まで一塁手だが、駒不足で転向。「変化球は本を読んだりしてカーブ、スライダー、チェンジアップを一から覚えた」。学校では情報海洋科で電子回路を設計製作している。直球は最速126キロだが「器用な手先」を生かした変化球のコントロールも精密。さらに父親が水産加工業に従事しており、全国屈指の水揚げ量を誇るサンマやカツオが毎日、食卓に並ぶ。「そのおかげなのか疲れないんです。公式戦初完封?
はい。というか人生でも初完封」と驚いた。
打線も応えた。4回まで完全に抑えられたが、5回裏1死二塁から6番の小山宜晃(3年)が決勝の中前適時打。打撃マシンを3メートル手前に置くなど氏家対策に自信があった。川村桂史監督(36)は「メンバー交換の時、選手は相手先発が氏家君と知ってニヤッとしてた」と頼もしそうだった。
昨夏4強のレギュラー4人が残り「能力は昨年以上」(川村監督)。だが「個性が強く、味方同士でつぶし合う掛け声や態度が見られたので『和』を重んじてきた」という。かみ合いさえすれば、昨夏の快進撃を知るDNAが活性化する。エース吉田は「今年は4強で満足するつもりはない」と力を込めた。【木下淳】

