中京学院大（東海地区）のドラフト１位候補、吉川尚輝内野手（４年＝中京）が４安打２盗塁の活躍で、初出場のチームを８強へ導いた。桐蔭横浜大（神奈川）のドラフト候補２投手から４打席連続安打を放ち、３－２で勝利した。中央学院大（千葉県）は６年ぶりの８強進出。東北福祉大（仙台６大学）は東農大北海道オホーツク（北海道学生）を完封し、元西武の大塚光二監督（４８）は全国初勝利を挙げた。

　吉川が、大会の顔になった。左右のドラフト候補投手との対決でも、吉川の活躍は変わらなかった。桐蔭横浜大の左腕エース高橋拓巳（４年＝前橋育英）の前に沈黙したのは、初打席の空振り三振だけ。バットの始動を早め「センターを中心に逆方向を意識して」２打席目から３打席連続安打をマーク。９回は右腕の斎藤友貴哉（４年＝山形中央）からも快打を放った。

　４安打に２盗塁。前日８日の先制打デビューに、この日はバット、足で活躍を上書きした。「速く、強いスライディングは練習から意識している」と成功率１００％の二盗成功に胸を張る。遊撃守備でも、２度の併殺を完成。４回１死一塁では中前に抜けようかという打球に回り込み、二塁手へのバックトスを試みた。送球がそれ、失策はついたが、技術、体力両面で守備範囲の広さを証明した。

　東京ドームから駆けつけた阪神和田ＳＡは「バッティングは（西岡）剛だけど、守備は広島の菊池がショートを守っているみたい。すごい対応力を見せてくれた」。今春の岐阜県リーグ開幕戦での４安打を見て以来の直接視察でまた４安打を見せられ、賛辞は止まらない。楽天長島スカウト部長は「吉川君の大会ですね。ショートがほしいところは１年目から使うでしょう。１位指名は決まりだと思う」と認めた。

　「昨晩（６日）もやっぱり興奮しました。明日もまた神宮で試合ができると。１試合でも多く神宮で野球をやりたい」と声を弾ませる。聖地へのあこがれはやまない。だがその舞台は、吉川のものになった。【堀まどか】