阪神と大筋合意している新外国人候補のウィリン・ロザリオ内野手(28=韓国・ハンファ)がドミニカ共和国時間の2日、参加中のウインターリーグで捕手を務めた。近況では一塁がメインだが、メジャー時代は捕手の出場が多かった。来季は「4番一塁」が有力視されるが、捕手起用により、超攻撃型オーダーの編成も可能になる。

 Vの使者が魅力的なオプションを母国で示した。阪神と大筋で合意しているロザリオがドミニカ共和国のウインターリーグに連日、出場。この日は「5番捕手」で先発オーダーに名を連ねた。2打数無安打で途中交代したが、守備位置は一塁だけではなかった。「無理に守らせる必要はないが、キャッチャーもこなすことができる」と球団関係者は言う。ロザリオが捕手を守れば、阪神では61年に日系人の藤重登が務めて以来57年ぶりの外国人捕手となる。

 今回の外国人補強は、とにかく長打力を優先してリストアップ作業を進めてきた。ロザリオは韓国球界で2年連続3割、30発、100打点の大台をクリア。4番を託すにふさわしい打力を持っている。金本監督も「外国人に守りを求めても、仕方がない」を話していたが、思わぬ副産物があった。ロザリオは捕手としてメジャーデビューを飾っている。他に一塁、三塁を守っているが、323試合出場と捕手で最も多く出場している。

 来季は「4番一塁」の起用が濃厚だが、マスクをかぶれるのはあまりにも魅力的だ。シーズンの勝負どころで、超攻撃型オーダーを組むことが可能になる。捕手ロザリオが4番に座ることで、打力のある若手を下位打線まで並べることができる。マスクをかぶらなくても、「第3の捕手」として計算すれば「捕手2人制」で臨める。その分、野手の要員を増やせる。金本監督は足のスペシャリストを2枠用意する意向を明かしており、助っ人野手が複数ポジションを守れるのは大きな強みになる。

 ロザリオとの獲得交渉は細部の詰めに入り、大詰めを迎えている。今オフの目玉補強を現実のものとすべく、正式契約に向けて全力を注いでいく。【田口真一郎】

 ◆外国人捕手 阪神では、ハワイ生まれの日系人、藤重登が59~61年に114試合守ったのが唯一の例。ロザリオが捕手で出場すれば、日系人を除くと初となる。他球団ではルイス(毎日)が54~55年に264試合にマスクをかぶり、2年連続ベストナイン。ほかにギャレット(広島)が77~78年に12試合。90~91年にディアズ(ロッテ)が21試合に出場。94年キャブレラ(オリックス)、00年ディンゴ(中日)も各1試合。プロ野球の創生期では、36年春~38年秋にハリス(名古屋、イーグルス)が179試合に出場。イーグルス時代の37年秋には最優秀選手となっている。