阪神青柳晃洋投手(24)が進化を遂げて1軍に帰ってきた。立ち上がりのピンチにも動じない。初回1死二、三塁。ここで迎えた4番筒香を、高めの直球で空振り三振に仕留めて乗った。「最初に筒香さんを三振に取れたのがよかった」。難を逃れると、その後はスコアボードに「0」を並べていった。6回途中、ソトに3ランを浴びて降板も今季初登板初先発で初勝利をゲットした。1四球にまとめ、制球難も克服。「1軍に呼んでもらえたのが有り難かった。(シーズンは)終盤なので与えられた1試合で結果を残さないと。昨年までとは違って四死球で荒れることがなかったのが収穫。自分の投げた試合でチームが勝てたのがうれしかった」。379日ぶりの白星をかみしめた。

新人だった16年から2年連続で4勝をマーク。だが今季は春季キャンプで2軍落ちしてから昇格ならず。2軍で8勝を挙げても、声はかからなかった。それでも青柳は諦めない大切さを知っていた。中学を卒業する際に「野球は、もういいかなって…」と1度は決意。当時の担任に伝えると「好きなことは絶対に続けなさい!」と一喝され、ハッとした。

青柳 簡単に考え過ぎていたと思う。野球が仕事になるとは考えてもなかった。もし、あのとき辞めていたら、今の自分はいない。思い出すたびに感謝しかないですね。

先発投手に勝ち星がつくのは8月22日中日戦(ナゴヤドーム)の才木以来、9試合ぶり。金本監督は「コントロールの不安だけなんでね。球威がちょっと戻ってきた」と評価した。6回の継投については「あのイニング、実は香田コーチが『代えませんか』と。オレが『まだいけるんちゃいますか』と。ちょっと申し訳なかったですね」と明かした。次回のチャンスについては「もちろん、あります」と明言。9日巨人戦(甲子園)で先発する可能性が高くなった。青柳の復活で虎の投手陣が厚みを増した。【真柴健】

▼阪神の先発投手に白星がついたのは、8月22日中日戦の才木以来、9試合ぶり。この間の8試合でクオリティースタート(QS=先発6回以上、自責点3以下)は23日メッセンジャー、28日岩貞、30日才木と3人いたが、この3試合の阪神の得点はそれぞれ3点、0点、1点。青柳は6回途中で降板したが、打線の援護もあって白星を手にした。