今季限りで現役を引退する日本ハム石井裕也投手(37)が、2軍本拠地での最終登板に思わず涙した。

石井裕は7回に2番手で登板した。ヤクルトからは代打が告げられ、元日本ハムの鵜久森淳志外野手(31)が打席へ向かった。

「集中して、思い切り投げました。元チームメートと、いい勝負ができたと思います」。石井裕は2球目に球場表示で最速143キロの直球をマーク。6球目までは全て直球で、鵜久森もストライクゾーンのボールは全てファウルした。

勝負が決したのは、直球と並んで武器の1つだったスライダーだった。カウント2-2からの7球目に125キロのスライダーを投げ、鵜久森のタイミングを外して一ゴロに抑えた。最後に変化球を投げてしまい、一塁のベースカバーへ走っていた石井裕は鵜久森に「ごめん」と謝った。

予定の打者1人を終え、三塁側ベンチへ引き揚げる際には球場全体から大きな拍手が送られた。「泣かないと思っていたけど、目がウルウルしてしまった」と、感極まった。家族も来場していた。試合後には「僕の息子に、いいところを見せられてよかった。かっこいいところを見せられた。もう後悔はないです」と、笑顔で振り返った。

9月22日に14年間のプロ野球生活に幕を閉じることを発表した。主に中継ぎとして通算329試合に登板し、19勝19敗6セーブ、防御率3・06の成績を残した左腕は同30日にあらためて、札幌市内の球団事務所で引退会見を開く。同日の西武戦(札幌ドーム)では、1軍での引退登板の機会も訪れる可能性がある。「鎌ケ谷でピッチング練習します」。最後まで、プロ野球選手として、できることをやり尽くす。