狩人のように刺した。ロッテのドラフト1位藤原恭大外野手(18=大阪桐蔭)が23日、高知・春野で行われた西武との練習試合に「2番中堅」で先発出場。

2点リードの3回2死一、二塁の守備で、中堅から三塁へレーザービームを繰り出した。制球力の備わった強肩に、一塁走者の山川を三塁まで走らせる頭脳プレーをミックスし反撃の芽を摘んだ。打撃でも1打数1安打2四球と3打席全出塁。本格化する外野手争いで強烈な印象を残した。

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したたかにワナを仕掛けた。中堅を守る藤原は、一塁走者山川の呼吸を探った。3回2死一、二塁。打者森の打球は投手の足元を抜けて二遊間を破ると、中途半端な勢いで中前へと転がってきた。「走ってくれるといいなぁ」。回り込むように打球への走路を取ると猛チャージをかけず、あえて速度を緩めた。山川は巨体を揺らし、二塁を蹴ろうとしていた。「ゆっくり走れば、いけるかな」。標的に緩慢な動きを見せ、三塁へと向かわせた。

誘い出すと、あとは仕留めるだけだった。ボールを握るや、ステップを踏んで思い切り左腕を振り抜いた。鋭い送球はワンバウンドで三塁手のミットに収まり、タッチアウト。悔しさをにじませて立ちつくす山川を、射抜いた。「(走者を)見ながら追いかけて、いけるかなと思ったんです」。エサをまき、走らせ、刺す。狩りのような守備で、反撃を1点に抑えこんだ。

サバイバルで生き残る武器を示した。新人離れした守備に「中学時代からああいうことはやっていたんで」と野球偏差値の高さをにじませた。今回の高知遠征では清田、鈴木が合流。25日からの宮崎遠征では角中や荻野も合流する見込みで、外野手争いは厳しくなる。「より一層、層が厚くなってきた。しっかりやらないといけない」と受け止め「打てない時に、守備や走塁をしっかりやれば生き残れるかなと思います」とストロングポイントをかみしめた。

たくましい姿に井口監督の言葉もはずんだ。守備だけでなく、第1、2打席と連続で四球を選び、第3打席では西武田村の代わりばなの初球を逃さず右前打。1回にはスタートよくランエンドヒットを完成させ、先制ホームを踏んだ。思い切りのいいプレーに「いい刺激を受けて、日に日に成長している。積極的に走ろうという姿もあるし、どこまで食い込んできてくれるか」と期待を込めた。

証明した走攻守のポテンシャル。熱を帯びていく定位置争いで、3球団競合のドラ1が開幕1軍の座を仕留める。【島根純】

◆ロッテの定位置争い

外野は角中、荻野はほぼ当確ランプがともる。残り1枠を岡、菅野、加藤、清田、そして藤原が争う激戦。内野も各ポジションで競争がある。三塁は日本ハムから移籍のレアードが有力。昨季、同ポジションで全試合に出場した鈴木も定位置を譲る気はない。安田は、課題の確実性を上げることが不可欠になりそう。遊撃は、昨年全試合出場した藤岡が右膝を痛めて2軍調整中。平沢は打撃と守備の両面での成長が望まれる。