マリナーズのイチロー外野手(45)が21日、現役を引退するとマリナーズが発表した。公式ツイッターでイチローは「野球を始めた地でキャリアを終えられた。誇りに思う」などと心境を記した。

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マリナーズ・イチローの一報に、ソフトバンク新井宏昌2軍打撃コーチ(66)は声を失った。「50歳まで現役を続けると言い、彼ならそれをやりとげると思っていました。自分から(第一線を退くと)発信することは信じられません」。イチローを深く理解する身近な存在でも、その決断に戸惑いを隠せなかった。

新井コーチはオリックスのコーチ時代から、故仰木彬監督とともにイチローを見守り続けてきた。オリックスを離れたあとも、オフになればイチローの帰国を待ち、神戸市内での自主トレに足を運んだ。孤高のスーパースターが心情を隠すことなく、助言を求めることができる数少ない野球人だった。

このオフも、46歳を迎えるシーズンに向かうイチローの準備を見てきた。「辞める辞めないなどの話は普段からしませんが、言動や練習の動きを見ていてもそういう感じは全くなかった」と明かす。テレビ画面を通して来日後の実戦を見る中で、安打を打てずに戸惑うイチローを見るうち、自身の体を感覚通りに自在に操るイチローならではの才能がうまく機能していないのでは、という思いは抱いた。「そういう自分を彼なら許せないかな、とも思った。それでも、自ら第一線を退くという決断は信じられない思いです」。何度もそう繰り返した。【堀まどか】