マウンドに「ミスターゼロ」が君臨した。阪神ピアース・ジョンソン投手(27)が、開幕から無失点投球でチームを救った。2点リードの7回1死一、二塁。この回から登板した能見に代わってマウンドに。迎えたのは、前日に逆転の3ランを打たれた4番ビシエドだ。「梅野くんがいい考えを持ってリードしてくれた。いい配球で、野手の皆さんも守ってくれた」。150キロ直球を2球連続で投げ、主砲を圧倒。中飛に仕留めると、続く阿部も150キロ直球で二飛に打ち取った。

今季2度目の「またぎ登板」も苦にしなかった。8回も続けてマウンドに上がると高橋、堂上を連続三振。最後は加藤を152キロ直球で二ゴロに仕留め、打者5人連続で仕事をさせなかった。「能見さんに1つ申し訳ないことをしていた。神宮でランナーをかえしてしまった。1つ借りを返せたというのがあります」。ジョンソンがそう話すのは17日のヤクルト戦。8回1死一、二塁から能見に代わって登板するも、死球と適時打で2点を失った。今回と同じ状況だった。律義な助っ人は、悔しい思いを胸に留め、腕を振った。

これで開幕から11戦連続無失点。オープン戦も含めれば、18戦連続無失点と驚異の安定感を誇る。ジョンソンは「皆さんの守りと梅野君のリードがあって、ゼロが並べられている。あまり言わないでください。言うと止まってしまうので」と苦笑いするが、矢野燿大監督(50)は大きな信頼を寄せる。「特にPJ(ジョンソン)が、苦しいところをしっかり行ってくれたのは大きかった。いまのウチのパターンで言ったら、あの場面はジョンソンに任せるしかない信頼関係。腹をくくれるような投手」。

グラブにはカタカナで「ピー ジェー」と記し、リュックサックには神社のお守りをぶらさげる。アメリカから来た助っ人が、早くもリリーフ陣の切り札になった。【磯綾乃】